2021 Fiscal Year Research-status Report
コンクリートに用いる塗布系材料の作用メカニズムと効果の包括的理解
Project/Area Number |
21K04215
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐川 孝広 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (90621045)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 表面含浸材 / けい酸塩系 / シラン系 / 塗布効果 / セメント種類 / 水和反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,コンクリート構造物の長寿命化・耐久性向上を目的として各種の塗布系材料に対する検討が行われ,土木学会により設計施工指針(案)や試験方法(案)が制定されるなど,評価手法の整備も進みつつある。本研究では,シラン系,けい酸塩系の代表的な表面含浸材を選定し,表面表面含浸材の塗布効果に及ぼすセメント種類やセメント水和反応へ及ぼす影響について着眼し検討した。 実験は,普通セメント(N),高炉セメントB種(BB)を用い,表面含浸材は市販のシラン・シロキサン系及びけい酸塩混合型を選定した。ペーストおよびモルタルの水セメント比は50 %とした。ペーストは40×40×40 mmの側面1面を解放し他面はアルミテープで封かんした。モルタルはJIS配合とし,φ50×100 mmの型枠および15 cm3のスチロール棒瓶にて円柱供試体を作製した。表面含浸材の塗布はメーカーの指定した方法とし,モルタルは円柱供試体の全面,ペーストは40×40 mmの一面に塗布した。測定項目は圧縮強度,結合水量,セメント水和解析,モルタル小型供試体による凍結融解試験とした。凍結融解試験は3 %のNaCl 水溶液を用い,材齢28日にて2日間の事前吸水を行い,試験開始時の表乾質量を100 %とした質量残存率にて評価した。 その結果,N, BBのいずれも,シラン系は塗膜の形成により水分逸散が抑制され,湿布養生と同等の強度発現となった。けい酸塩系は,塗布後の水分供給が無かったため強度発現は停滞した。シラン系を塗布したモルタルの凍結融解抵抗性は,N,BBのいずれも極めて高かった。Nのけい酸塩系では,サイクル初期で含浸材の反応または内部劣化による吸水による質量の増大が認められ,その後大きく質量は減少した。セメント水和解析の結果,けい酸塩系において,N,BBのいずれも経時で生成CH量の減少が認められ,含浸材とCHとの反応が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同一環境条件での,シラン系,けい酸塩系表面含浸材を塗布した普通セメント,高炉セメント硬化体の強度発現性,凍結融解抵抗性,セメント水和反応を評価できたことから,研究の進捗は概ね順調に進展している。シラン系,けい酸塩系表面含浸材の作用機構はそれぞれ異なることが再確認できたことから,今後は塗布後の養生条件の影響を精緻に評価する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の実験結果により,シラン系,けい酸塩系表面含浸材の作用機構はそれぞれ異なることが再確認できた。すなわち,けい酸塩系含浸材は,塗布後の水分供給により反応が進行することから,塗布後の養生条件の影響を精緻に評価する必要がある。また,普通セメントと高炉セメントでは,耐久性や水和反応に及ぼす影響が異なることも考えられ,引き続きセメント種類の影響についても検討を継続する。セメント水和反応の評価は,今年度は粉末X線回折に加え,等温熱量計にて水和発熱速度の評価も併せて行う。
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