2021 Fiscal Year Research-status Report
河川堤防の浸透破壊の早期検出技術の高度化と激甚な洪水への対策法に関する実験的検討
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21K04249
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀越 一輝 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (90771965)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 河川堤防 / パイピング / 内部侵食 |
Outline of Annual Research Achievements |
河川堤防の決壊パターンの一つに浸透によるパイピングの発生を原因とする破壊があり,近年,日本の河川堤防でも生じている.このパイピングは今後の気候変動の変化によって更に,その発生頻度が上昇することが推定されている.本研究では「従来型の土堤原則に則った堤防と浸透破壊に対して対策を施した堤防は,今後の気候変動による洪水外力増加を考慮した洪水の長期化や頻度増加にどれほど対応できるか」という疑問について検討するため,激烈な洪水を再現した遠心模型実験を実施した.ここでいう激烈な洪水は,河川堤防の決壊の一因であるパイピングの発生初期段階で生じる噴砂を生じる河川水位が急激に河川堤防に作用した状況を想定している. 遠心模型実験の結果,河川堤防に急激な河川水位が生じた場合,基礎地盤と堤防の境界で発生するパイピングによるパイプの断面は,緩やかな水位上昇によって発生するパイプと比べその断面が大きくなることがわかった.また,この実験によって,パイピングの進展によって堤防法面で発生する沈下について詳細な分析をおこなった.急激な河川水位が生じた場合に発生するパイピングを起因する堤防法面の沈下は,緩やかな水位上昇によって発生する沈下と比べ,大きな範囲で沈下傾向を示すことを確認した.また,堤防の法面で発生する沈下体積と法尻で発生する噴砂による堆積量の関係は,初期においては,堆積量が大きい傾向があるが,パイピングの進展により,堆積量および沈下体積が同程度の量となることが確認された.この傾向は,緩やかな水位上昇によって発生するパイピングによって発生する噴砂による堆積と堤防法面の沈下の関係においても同様に確認された事実である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度の後半において,遠心模型実験装置の故障が発生し,当初予定していた実験数をこなすことが今年であった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果を社会に還元するため,遠心場で実施した模型実験の結果を分析し,一般化する.また,現実の堤防においてパイピングによって発生する噴砂と堤防沈下を画像と深度データを用いて自動認識するシステムを開発するため,まずは,そのデータ集めのための小型模型実験を実施し,パイピングによって発生する噴砂の詳細なデータの収集をおこなう.
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Causes of Carryover |
2021年度後半において,この研究に関して必要不可欠な遠心模型実験装置が故障したため,この故障以降は故障以前に発生した実験結果の詳細分析と解析的研究を主に実施し,当初予定していた実験自体に遅れが発生したため.
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Research Products
(1 results)