2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on the coordination between physical space and cyber space in next-generation cities
Project/Area Number |
21K04293
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森本 章倫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30239686)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 尚宏 早稲田大学, 理工学術院, 教授(任期付) (20378524)
高山 宇宙 大阪産業大学, 工学部, 講師 (80844290)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | スマートシティ / コンパクトシティ / サイバー空間 / フィジカル空間 / デジタルツインシティ / 都市計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
情報通信技術ICTの活用は様々な分野で生活や交通環境の改善に貢献する一方で、実際の都市構造や交通に影響を与え、フィジカル空間自体の変化を余儀なくされる。今後のスマートシティの進展が、これまで我が国が目指してきたコンパクト+ネットワークの都市構造に対して、どのような影響を及ぼすか不明瞭である。そのため、超スマート社会を具現化したまちづくりを行う上で、情報を扱うサイバー空間と実空間を有するフィジカル空間の相互関係を明らかにすることは、学術的および実務的に喫緊の課題となっている。 本研究の目的は「スマートシティの取組が実空間に与える影響を定量的に把握すること」にある。そのうえで、持続可能な都市空間のあり方を定量的なデータに基づき探求し、デジタルツインシティの構築と実務的な展開を目指している。 令和3年度は「フィジカル空間とサイバー空間の都市モデルの比較検証」を行った。特に、わが国で導入が推奨されているコンパクトシティとスマートシティの二つの都市モデルの長所と短所を整理し、相互連携に向けた検討を行った。また、フィジカル空間の検討として、現状のコンパクト+ネットワークの都市構造における課題を整理した。次に、サイバー空間の検討として、都市OSを前提とした都市解析システムを実用化する上での課題を整理した。そのうえで、都市OSと都市解析システムを利用したスマートシティにおけるまちづくりの全体像を提案した。サイバー空間において都市OS、都市解析システム、スマートシティサービスが互いに連携し、フィジカル空間の施策を支援することが重要である。例えば、都市解析システムで得られた知見を基に短期的な施策を市民や企業に、スマートシティサービスとして直接提供することが重要である。一方で、行政は都市解析システムで得られたエビデンスを基に、中長期的な施策立案に役立てることができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はフィジカル空間とサイバー空間が相互連携する理想的な都市モデルとして「デジタルツインシティ」の構築を目指した検討を行っている。研究の初年度は都市モデルの現状を把握し、その課題を整理することに焦点を当てて概ねの目的を達成することができた。 令和3年度の課題である「フィジカル空間とサイバー空間の都市モデルの検証」を行った結果、将来の都市モデルを検討するうえで、コンパクトシティとスマートシティの二つの都市モデルの相互連携に向けた概念的整理が極めて重要であることが分かった。特にサイバー空間の利用が増加すると、フィジカル空間に大きな影響を与えるため、その二つの融合を想定した都市モデルが必要である。フィジカル空間としてコンパクトシティの課題を整理した結果、その進捗管理が硬直的であることがわかった。そこで様々な分野のサービス導入を容易にさせることを実現するITシステムである都市OSの現状を整理し、スマートシティとの関連性を検討した。また、スマートシティ全体像の中での都市解析システムの位置づけを検討し、収集されたデータを利用した都市解析に基づくまちづくりを促進する課題を整理した。以上、初年度の概ねの目標を達成したため総じて「順調に進展」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度(2022)は「サイバー空間がフィジカル空間へ与える影響の定量化」を実施する。サイバー空間の整備がフィジカル空間に与える影響を整理し、両者の相互関係を把握する。ここでは、シェアリングシステム及びMaaSの導入を想定し、それらが交通環境や環境負荷、都市構造などのフィジカル空間にどのような変化を与えるかについて検証を行う。MaaSの導入は公共交通へのシフトによる交通環境の改善や環境負荷低減、移動の活発化による地域活性化などの効果が期待される。 令和5年度(2023)では、「デジタルツインシティの構築と将来像の可視化」に取り組む予定である。研究計画の最終年として、フィジカル空間とサイバー空間の融合を実現するデジタルツインシティのプロトタイプを構築し、都市の可視化を行う。サイバー空間上に都市を再現した3 次元モデルを構築し、サイバー空間でのシミュレーションを基にフィジカル空間における市民との合意形成や都市計画の立案を支援する。なお、研究対象地域として2023年3 月に開業予定の宇都宮市のLRTを中心にデジタルツインシティを構築することを目指す。
|
Causes of Carryover |
学内経理上、翌年度学会年会費を前年度内に執行することが不可であったため、年度が切り替わってから執行を行ったため。
|
Research Products
(3 results)