2021 Fiscal Year Research-status Report
A research on time-distance-focused communication clues and the functions
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21K04379
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
佐野 奈緒子 東京電機大学, 未来科学部, 研究員 (80376508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 義郎 金沢工業大学, 建築学部, 教授 (20227424)
秋田 剛 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (40318168)
古賀 誉章 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (40514328)
宗方 淳 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (80323517)
小島 隆矢 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (90292888)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 画角 / 視野角 / 接触 / 共在感覚 / オンライン会議システム / 対人距離 |
Outline of Annual Research Achievements |
在宅勤務やオンライン授業の増加に伴い、オンライン会議システムによりコミュニケーションをとる機会が増えている。今後、住空間においてもモニタ越しでコミュニケーションをとることを目的とした室空間が多く利用されることが予想される。その際、モニタと実空間の間に感じられる時間・空間的なずれ感の少ない、自然なコミュニケーションが求められると考えられる。しかし、モニタ越しのコミュニケーションにおける認知・行動上の特性については、まだ明らかでないことが多い。本年度は、オンライン会議システムによるコミュニケーション時の①視覚による距離感、及び②画面上での擬似的接触に注目し、検討をおこなった。①ではモニタ画面の画角を変え、見かけ上の対人距離がコミュニケーションに与える印象について検討した。また、②画面上で手と手を合わせ、擬似的に接触している場合と非接触の場合のコミュニケーションに対する印象評価を行った。 その結果、①では見かけ上の対人距離約1.4mで最も自然な見え方で、リラックスすると評価され、その際の共在感覚も高い傾向を示した。距離の近接及び延長によりその評価は低下した。これはHallの示す個人的距離、社会的距離に近く、コミュニケーション時には、実空間に準じた視覚的な対人距離が好まれることがわかった。 また②では、実験協力者の評価が画面に接触する行為に対して違和感を感じる評価傾向と、反対にその状況を楽しむ評価傾向に分かれ、後者の評価者群で共在感覚が接触時に、次いで非接触会話時に高く、また楽しいと評価された。その際、実空間での対面時を想起して比較した場合の対人距離感は、接触・非接触にかかわらず、ME法による評価において実空間を想起した場合と差はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オンライン会議システムでの見かけ上の対人距離の違いにおけるコミュニケーションの印象は、実空間の場合におけるそれと近い傾向にあることがわかった。 また、オンライン会議システムにおける「手と手の画面上での接触」という実空間とは異なるコミュニケーションに対して、受容的な評価傾向にある群と非受容的な評価傾向にある群により、コミュニケーション時の印象は変化している。このことから、手がかり情報の印象の強さやそれが与える印象は、モニタ越しの接触行為に対する心理的な「構え」によって異なる可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
時間-距離に注目したコミュニケーションの手がかり情報について、時間的側面としてインタラクション における時間遅延によるコミュニケーションの変化について検討する。また画角に引き続き、視認性に影響を与える要因について検討する。
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Causes of Carryover |
本年度の実験システム構築の一部を翌年度に行うこととしたため。次年度使用額は2022年度の実験システム構築及び被験者謝金として使用する計画である。
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