2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of thermal-physiological model for blood flow by posture change
Project/Area Number |
21K04381
|
Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
永野 秀明 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (50610044)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 温熱快適性 / 血流 / 血圧 / 姿勢 / 重力 / 人体熱モデル / 被験者実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
「暑い」「寒い」などの快適性である人体温熱快適性の評価において、姿勢が異なることによる影響を考慮するための被験者実験を行った。被験者実験では、右腕を上げた姿勢を維持したときの右手指先の皮膚温と、下げたほうの左手の指先の皮膚温に差異が生じることが確認され、その差は被験者によって1.3 ℃~3.4 ℃であった。これは姿勢の影響により血流が変化し、ひいては皮膚温が変化しうることを示している。この影響を数値モデルにより予測可能とするため、深部-皮膚を1次元の血管とみなし、血液に作用する全駆動力を考慮することで、従来モデルの温熱信号によって定まる血流量が重力の影響を受けるよう定式化した。具体的には、姿勢の変化によって重力の作用する方向が変化することを考慮し、通常時の姿勢である「標準姿勢」とそこからの変化量である「姿勢角度」という概念を導入し、重力が血流の駆動力へ作用するよう従来モデルを改良した。改良した人体熱モデルを用いたシミュレーションの結果は、被験者実験の結果とよく一致した。また本モデルを用いて温熱環境評価指標である標準新有効温度SET*を算出したところ、両手を上げた条件では上腕でSET*が0.24 ℃低下することが確認された。仰臥位では、足で皮膚温が0.54 ℃の低下、SET*は頭部で0.68 ℃、足で0.46 ℃の上昇が確認された。これは、姿勢による影響が温熱快適性にも影響することを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では初年度に被験者実験を行い、姿勢の違いによる血流および皮膚温への影響の実データを取得する予定であった。実際には被験者実験の実施によりデータを取得できただけでなく、2年目計画であった人体熱モデルへの重力影響の簡易組み込みも一部着手できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画は順調に推移しているため、被験者実験の条件追加や、人体熱モデルのうち精緻な既存モデルの実装をも視野に入れて推進していく。
|
Causes of Carryover |
実験参加者への謝金を支出する予定であったものの、コロナ禍により実験参加者の確保が当初計画よりも少なくなったため。次年度に、不足分の被験者数の実験を実施する計画である。
|
Research Products
(2 results)