2022 Fiscal Year Research-status Report
居住地選好により生じた空き家の供給構造的課題と予防策に関する研究
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21K04427
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
清水 陽子 関西学院大学, 建築学部, 教授 (70457133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 裕子 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (30781504)
中山 徹 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (60222171)
森田 尋子 奈良女子大学, 社会連携センター, 講師 (60845238)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 空き家 / 人口動態 / 居住地選好 / 地域内移住 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は前年に取り組んだ西宮市の分析を審査論文として発表した。この内容は昨年度の報告の通りであり、今後の対策として社会動態においては転出入だけでなく、地域内での動態も着目すべきであることを明らかにした。また、この論文は審査員からの推薦でJapan Architectural ReviewのTranslated Paperとして投稿している(2023年4月末現在査読中)。 研究会での成果は日本建築学会大会でも2本報告を行い、空き家の適正管理施策と予防策の検討を行った。 さらに、住宅選好の構造を明らかにすることを目的として、介護付き有料老人ホーム居住者を対象に、住宅変遷の分析を行った。これは、住宅すごろくのゴールの一つとされる介護付き高齢者向けホームまでの転居について、転居時の年齢と転居ごとの住宅形態、立地などを調査した。その結果、転居回数と住居形態による傾向として、早い段階から持ち家が志向され、持ち家から持ち家への転居も見られ、人生の中で複数回持ち家を持つ人も多いことが分かった。転居回数が多いほど、持ち家でもマンションを選択する傾向がみられ、居住地については、実家が大きな引力となることが分かった。県を越えるような大きな移動は仕事がきっかけの場合が多く、居住地選択の際には住み慣れた実家を基準に、利便性などの条件を照らし合わせていると考えられることを指摘した。 また、居住地選好と住宅供給の取り組み事例としてフランス エコカルティエの調査を行った。エコカルティエは環境配慮手法として日本で報告されている。しかし、この事業は環境への配慮(グローバルな課題)への対応だけでなく、地域改善(ローカルな課題)へもアプローチできる政策ではないかと考え、エコカルティエの持つ街区・地区コントロール手法と地域住民の関わり方に焦点を当て調査を行った。調査時期は2023年3月である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は海外調査も実施でき、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度となるため、本研究の核心をなす学術的な問いである「空き家問題を居住地選好により生じた住宅供給の構造的課題ととらえることができるか」について、これまでの成果を踏まえ検討を行う。 空家になる過程は複雑であるが、本研究で明らかになった同一地域内での動態や住宅歴を踏まえた空き家対策、もしくは地域としての住戸数規制や適正管理を提案することで、現在進められている住生活マスタープランや立地適正化計画などの取り組みの促進を図り、実行性のある施策の提示を目指す。 また、本研究の限界と見出された課題を指摘することで、研究課題のさらなる発展が期待でき、これらをもとに次の応募へとつなげていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究分担者の一人が事情により海外調査に同行できなかったため、予算の執行ができませんでした。残額については、為替などの影響により先進事例の資料翻訳費などが当初予定より高くなっているため、次年度の人件費・謝金において使用する予定です。
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Research Products
(3 results)