2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the Planning of Postwar New village that includes nature, space, and production in lowland rural areas, Japan
Project/Area Number |
21K04439
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
後藤 隆太郎 佐賀大学, 理工学部, 教授 (00284612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 孝男 新潟食料農業大学, 食料産業学科, 教授 (80448620)
菊池 義浩 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (50571808)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新村計画 / 低平地 / 母屋と小屋 / 建物配置 / 共同空間 / 戦後 / 農村集落 / 有明海・八代海沿岸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近現代の集落計画の課題を捉えるため、戦後近代や前近代(近世末)にさまざま実施されてきた我が国の集落形成に関して、自然・空間・生産の連関を基本的視座とし、低平地の集落や新村計画を検証している。それにより、1)生産を含む集落の維持と創造との両立、かつ、2)物的要素(ハード)と非物的要素(ソフト)を包括する集落計画の体系化と論理の考究を目的としている。 研究成果として特に有明海・八代海沿岸の干拓地を対象に、戦後の計画村は、元は沿海部であったという厳しい自然環境に対して、矩形や繰り返しによる合理的、幾何学的に基盤整備や居住関連施設の配置によって集落(新村)を成立させてきたことを、詳細な実態調査に基づく図化や分類等により特徴を明らかにした。加えてそのような基盤の上で、人々はどのように個の生活空間(敷地内の建物配置)を50年ほどの時間をかけて確立してきたのか、特に絶対方位に依拠しつつ、道路側などに一定の建物配置の傾向が見られた。つまりは母屋と小屋からなる集落の家並みが生じていることなどを明らかにした。また、低平地の集落や新村計画のもう一つの視座、「公」や「共」の生活空間、具体的には集会所や共同施設の位置やその実態についても検討した。その実態から複数タイプに分類はできるものの、それらの社会との関係や効果について合理的説明のないままに計画が実施されてきたと言え、共同生活に対する空間計画的な意図が希薄であるなど、改善の余地や計画に課題があること等も見いだすことができた。 加えて、比較対象として信濃川・阿賀野川下流域、品井沼干拓地(宮城県)などの低平地集落の実態調査や分析を行うことができ、自然条件や時代、社会を背景とした差異などがあきらかとなった。これらは建築学会等の査読付き論文を含む論文報告や学術講演、あわせて地域の一般技術者への講演により一部の成果の社会還元の取り組みを行った。
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