2021 Fiscal Year Research-status Report
火災時における片まひ者の避難安全を向上する建築計画の研究
Project/Area Number |
21K04447
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
村井 裕樹 日本福祉大学, 健康科学部, 准教授 (30455563)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 英祐 大阪工業大学, 工学部, 教授 (50167011)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 防火戸 / 片まひ / 避難 |
Outline of Annual Research Achievements |
片まひ者の火災時の避難安全実現のため、当該年度は麻痺の左右差について、防火戸の開く方向(右開き、左開き)との関係も踏まえた実験的研究を計画していた。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響により、片まひのある当事者を被験者とした実験は感染リスクがあると判断し、安全確保のため実験は翌年以降に延期した。そのため当該年度は実験に使用する防火戸の制作および片まひ者の動作の特徴についての情報収集など、実験を確実に実施するための準備に注力した。また、研究分担者および実験予定施設の関係者間の打合せと情報共有については、対面は避けて電子メールを利用し実施した。 防火戸については、押し開けタイプの戸と引き開けタイプの戸の2種類を制作した。引き開けタイプについては、取っ手部分を4種類(ケースハンドル、掘り込み引き手、トランクハンドル、縦型ハンドル)に交換可能なものとし、以前の科研費による研究で制作した防火戸と左右対称の形状のものを用意した。これにより、完全に同じ条件下で左右麻痺差と防火戸の左右開きの差を比較実験できる準備を整えた。 片まひ者の動作の特性については、関係する既往論文の収集と、以前の科研費による研究で得た片まひ者の動作実験による動画データーの精査を行った。その結果、麻痺側と防火戸の開く方向によって、防火戸前後の移動の仕方や、防火戸の開けやすさ(開けることに伴う身体の安定性)に影響が出ていることがわかり、本研究での実験において特に確認すべき課題が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、本年度に防火戸通行実験を予定していた。しかし、本研究では片まひ者を被験者とした実験を行うため、新型コロナウィルス感染症の影響による感染リスクを考慮して実験は延期とした。一方で、実験に使用する防火戸の制作は完了し、実験において特に確認すべき課題について既往論文やこれまでの実験結果の精査を通して明確になった。以上のことから、区分のとおりの進捗状況と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、延期となった防火戸通行実験の実施に向け、社会情勢も考慮しつつ研究分担者および実験を行う施設所属の医師およびリハビリテーションエンジニアと検討を進める。その際、最も大きな課題となるのは新型コロナウィルス感染症の影響による被験者への感染リスクであるが、このことについては、上記医師と綿密な検討を行うことで対応していく。
|
Causes of Carryover |
本年度予定であった防火戸通行実験を次年度以降に延期したため、実験で使用予定であったビデオカメラや実験実施施設への交通費および宿泊費、謝金などの支出が無かったため次年度使用額が生じた。 次年度以降に実験の計画をたてており、この際にこれらの経費が生じるため、その時点で使用する計画である。なお、当初2022年度に計画していた経費は、計画通りに、学会発表のための交通費および宿泊費、防火戸保管費等に使用する計画である。
|