2021 Fiscal Year Research-status Report
インド・カーンヘリー仏教石窟の僧院空間に関する研究
Project/Area Number |
21K04472
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
野々垣 篤 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (10283392)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 古代インドの僧院の文献上の把握 / 古代インドの碑文内容の把握 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は現地調査を中心としたもので、2021年度は冬期(もしくは春期)休暇期間に三次元測定可能な実測機器を用いて、より正確な空間の姿やベンチや棚などの位置大きさを記録する計画であったが、コロナ禍で海外調査のための出入国や活動の制限により、実施を見送ることになり、国内出張でさえも制限された。そのため以下に示すように、実績としては限定的となた。 ①三次元測定可能なコンパクトな機器(Leica BLK3D)の購入と調査準備:現地調査を冬季休暇中に実施の準備として10月に入手し、使用に必要なアプリの準備を含めた調査方法の確認を行った。 ②古代インドの仏教僧院における人々の活動に関わる文献上のデータの整理・分析:細かくは(イ)古代仏教経典を含んだ僧及び僧院に関わる規則の把握、(ロ)法顕、玄奘等による旅行記等の記述の把握、(ハ)石窟等に刻まれた奉献碑文の内容の把握、の3つがある。その中で(イ)(ロ)の両方に関係する文献として、長沢和俊訳注『法顕伝・宋雲行紀』東洋文庫194、水谷真成訳注『大唐西域記1~3』東洋文庫653、655、657、宮林昭彦、加藤栄司訳『現代語訳 南海寄帰内法伝-七世紀インド仏教僧伽の日常生活-』法蔵館を含んだ日本語訳されたものに加え、その他、Khosla, Romi, Buddhist Monasteries in the Western Himalaya, Nepal, 1979など、古代インドの仏教僧院に関わる研究内容の把握により、幅広く古代インドの仏教僧院の建築の事例把握も進めた。(ハ)に関係する文献としては、Gokhale, Shobhana, Kanheri Inscriptions, Pune, 1991や静谷正雄『インド仏教碑銘目録』平楽寺書店、1979等の文献の分析を中心に、カーンヘリー碑文で言及されている僧院に関わる施設についての把握を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要でも記したように、コロナ禍で海外調査のための出入国や活動の制限により、実施を見送ることになり、国内出張でさえも制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の2022年度は、すでにワクチン接種対応をはじめとした個人で行える条件整備を済ませ、コロナ禍の日本国内・海外での状況改善の兆しも見えてきており、第一に現地調査の実施に向けての準備を進める。しかし国際情勢の急激な変化を背景に、円高をはじめとした状況変化もあり、冬期(もしくは春期)休暇期間中の短期間で最大限の成果を目指すことも想定し、以下の3点を重点的に取り組み、コロナ禍による遅れを取り戻す。 まず、三次元測定可能なコンパクトな機器(Leica BLK3D)の使用に関わる習熟度を高め、短期間でも、失敗なく、より正確なデータ収集を行える状況にすることである。特に、本研究の対象は石窟であり、その内部空間は暗いこともあり、カメラ測定の限界によるデータ収集の失敗も懸念されるため、部屋の明るさの変化による影響について現地調査実施前に実験的に把握する。 二つ目に、これまでに収集してきた研究対象に関するデータを改めて見直し、予定される現地調査では必要なデータを効率よく収集できるように、調査手順を徹底的に確認する。 三つ目には、古代インドの仏教僧院における人々の活動に関わる文献上のデータの整理・分析を、十分整理できていないデータや文献もあり、さらに進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で海外調査のための出入国や活動の制限により、実施を見送ることになり、国内出張でさえも制限されたため、旅費としての支出ができなかったため。 次年度は、冬期(もしくは春期)休暇期間中に実施計画予定の現地調査の期間を、2021年度未使用分も加えた予算で、円高状況も鑑みて、最大限延長する形で使用する。
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