2022 Fiscal Year Research-status Report
インド・カーンヘリー仏教石窟の僧院空間に関する研究
Project/Area Number |
21K04472
|
Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
野々垣 篤 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (10283392)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 古代インドの僧院の文献上の把握 / 古代インドの碑文内容の把握 / カーンヘリー石窟の実測 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は前年度の今後の研究の推進方策に示した次の3点に取り組んだ。 まず、コロナ禍明けの来るべき現地調査で無駄のないデータ収集が可能なように、実測機器Leica BLK3D利用した調査の習熟を目指し、身近な対象の実験的な実測を繰り返し行った。引き続いて、調査手順のシミュレーションの確認で、現地では一人での調査となり、かつ、カーンヘリー石窟がムンバイ市民の日常的な利用が想定される国立公園内にあるため、現地での調査活動の制限が想定され、管理をするArchaeological Survey of Indiaからの調査許可条件も考え、いかなる装備や手順で行うかを、上記のLeica BLK3Dを含めた、カメラ、モバイルバッテリー、照明機器を使って調査の手順を確認した。 3つ目は、古代インドの仏教僧院における人々の活動に関わる文献上のデータの整理・分析であるが、昨年度からの継続して、仏教僧院に関わる記述の把握をさらに進めた。 本研究は現地調査が主な活動でありながら、しばらくコロナ禍で現地調査が予定できなかったが、令和4年12月になり、コロナ禍の状況変化を受けた日本政府の帰国時の入国制限の緩和がなされ、ようやく、今年度の最大の研究実績としての具体的な現地調査の計画を進めることができた。ただし、当初予定の令和4年12月から翌年1月にかけて(ちょうど大学の冬期休暇期間)の実施は、残念ながら、急なる中国での新型コロナ感染者数の急激な増加により、インド側の入国制限がにわかに行われることになるなど、その期間での調査実施は見送ることになり、最終的には、年度末の令和5年3月の春期休暇期間(3月10~22日の13日間)を利用しての実施となった。結果として、令和4年度内での成果をまとめる時間は限られた。しかしながら、現地調査の実施がかない、次年度の具体的な目標につながった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要でも示したように、本研究の主なる活動の現地調査が1年目に行えなかったことで、その分、遅れているが、ようやく2023年3月に1回目の現地調査が行えたことで、その先の計画がより具体化し、3年目での成果のまとめに向けての目標が明確になったこともあり、昨年度の(4)遅れている、ではなく、(3)やや遅れている、とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である3年目の2023年度は、8月までに、2023年3月に行った現地調査でえられたデータをもちいた僧房窟の実測図面の作成を行うと共に、これまで行ってきた文献上のデータをとりまとめる。 8月から9月の、大学の夏期休暇の期間を利用して、もともと申請書における2年目の現地調査(比較対象の、ムンバイ周辺およびコンカン地方の古代仏教石窟僧院遺構調査)および3年目の現地調査(カーンヘリー仏教石窟の補足調査)と、2回に分けて行うべき内容に関わる現地調査を行う。昨年度同様、円安の影響やコロナ禍後の変化も考えられるが、予算および時間の許す限りの調査日程で、昨年度に行ったカーンヘリー仏教石窟調査で再確認および補足すべきデータをえることを優先するとともに、2年目に予定していたムンバイ周辺およびコンカン地方の古代仏教石窟調査も、可能な限り含むことを考えている。 上記の現地調査終了後となる10月以降は、最終成果報告書のとりまとめを行う。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍で、2022年12月まで、海外調査のための出入国や活動の制限により、現地調査の実施計画ができず、2年目の2022年度も、ようやく2023年3月の春期休暇期間中での現地調査実施となったが、結局、その期間が13日間と限定され、前年度調査を加えた内容での実施は限定的になり、現地調査用の予算の一部が繰り越されることになったため。2023年度は、夏期-秋期に、2回目の現地調査を行う予定であり、繰り越された予算と時間の許す範囲で旅費として使用する計画である。
|