2022 Fiscal Year Research-status Report
Temporal- and spatial- variations in fatalities by landslides
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21K04590
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
篠原 慶規 宮崎大学, 農学部, 准教授 (10615446)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 土砂災害 / 死者数 / 犠牲者 / 降水 / 人口減少 / 地球温暖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における土砂災害の死者数は,長期的には大きく減少してきたが,近年は横ばいが続いている。ハード対策だけでなく,ソフト対策,森林整備等も含めた複合的な視点から,これを打破するための有効な手段を提案するために,土砂災害による死者数の時空間変動の決定要因を解明することを本研究課題の目的としている。2年目である2022年度は,土砂災害の空間的ばらつきに影響を与える要因の解明を試みた。まず,降雨による土砂災害発生件数について,都道府県別のデータを用いて,その空間変動要因について明らかにした。その結果,降水と土砂災害の危険性が高い地域数は,土砂災害発生件数に大きな影響を与えていることがわかった。また,地質や土地利用も土砂災害発生件数に影響を与えることがわかった。さらに,土砂災害を「がけ崩れ」「地すべり」「土石流」の3つに分けて解析したところ,特に「がけ崩れ」では、森林率等の土地利用が,その発生に大きな影響を与えることがわかった。平成30年7月豪雨の際に多数の土砂災害が発生した愛媛県宇和島市を対象として,土砂災害の空間分布に及ぼす影響を調べたところ,降雨の分布だけでなく、土地利用(森林か果樹園か)も土砂災害の発生に大きな影響を与えていることがわかった。令和4年台風14号を対象とし,宮崎県内の土砂災害の空間的ばらつきを調べたところ,降雨の分布よりも,場の条件(その土地の状態)の方が,土砂災害発生に大きな影響を与えている可能性が示唆された。このように,土砂災害の空間分布について,多角的な視点から解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、土砂災害による死者数の時空間変動要因の解明を目的としている。1年目には、死者数の時間変動について、2年目は死者数と関連の深い土砂災害発生件数の空間変動について解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、過去の土砂災害について取り扱ってきたが、将来予測も進めていく予定である。また、個別の地域について、日本全国の結果が適用可能か、確かめていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、参加する学会を国際学会から国内学会へ見直すなどしたため。翌年度に、論文のオープンアクセス化など、アウトプットの価値が高まるように利用する。
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