2023 Fiscal Year Annual Research Report
Temporal- and spatial- variations in fatalities by landslides
Project/Area Number |
21K04590
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
篠原 慶規 宮崎大学, 農学部, 准教授 (10615446)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 土砂災害 / 死者数 / 森林 / 降水 / 気候変動 / 人口減少 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における土砂災害の死者数は,長期的には大きく減少してきたが,近年は横ばいが続いている。ハード対策だけでなく,ソフト対策,森林整備等も含めた複合的な視点から,これを打破するための有効な手段を提案するために,土砂災害による死者数の時空間変動の決定要因を解明することを本研究課題の目的としている。3年目である2023年度は主に下記の成果を得た。(1)統計データから,国内の林齢別面積の長期的変動を推定すると共に,既往の研究を収集することで,森林の林齢と土砂移動の起こりやすさ(脆弱性指数)との関係を求め,これらを統合しモデル化することで,国全体で森林の成熟がどの程度,土砂災害発生件数に影響を与えたのか予測した。その結果,老齢林(60年生以上)主体の林齢構成では若齢林(20年生以下)の林齢構成の半分程度に土砂災害発生件数を抑えられることがわかった。(2)土砂災害の危険性が高いところに住む国内の人口変動を調べたところ,中山間地域の過疎化及び少子高齢化の影響を受け,徐々に減少していることが明らかとなったが,その変化量は,他の要素と比較して小さいことがわかった。(3)過去に大規模な土砂災害が3回発生しているが,徐々に死者数が減少している広島県呉市において,その要因を調べたところ,1945年~1967年,1967年~2018年で,死者数減少をもたらした要因が異なることが示唆された。また,日本全国で見られた傾向と比較したところ,ハード対策の効果は,日本全国よりも早く出現していることが予想された。これは,1945年にあった大規模な災害により砂防堰堤等が全国に先駆けて整備されたためと考えられる。このように,様々な視点から,土砂災害死者数減少に与えた要因を解明できた。
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