2021 Fiscal Year Research-status Report
中性子デバイリング測定と角度発散光学の組み合わせによる残留応力分布評価の高度化
Project/Area Number |
21K04731
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩本 ちひろ 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (50649770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 正人 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 上級研究員 (00525595)
藤田 訓裕 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (60532364)
徐 平光 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究副主幹 (80554667)
小泉 智 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (00343898)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 角度分散型中性子回折法 |
Outline of Annual Research Achievements |
自動車や航空機、船舶、原子力プラントなどの安全性、信頼性の担保が必要不可欠とされる中、材料の遅れ破壊や疲労破壊、応力腐食割れなど予期せぬ破壊の発生による事故を防ぐために、残留応力を低減するような接合・加工法の開発が重要である。本研究の目的は、日常的に加工法を変えながら残留応力測定を非破壊で行なうことが可能な小型中性子回折装置を実現することである。 そのために、本研究では角度分散型中性子回折法を採用し開発を進めている。この手法を用いることで、小型中性子源において問題となるバックグラウンド中性子を減らし回折中性子測定精度を向上させることができる。一方で、試料に照射される中性子ビーム強度が低いデメリットを補うために、標準関数による明確な回折線分布解析手法の開発、2次元検出器を用いたデバイリングの測定、モノクロメーターとマルチピンホールコリメータを組み合わせた測定精度とビーム強度のバランスの研究を行なう必要があった。 今年度は、2つの研究を進めた。1点目は、飛行時間型中性子回折測定用の特有の関数を用いた回折線分布解析手法の確立である。飛行時間型中性子回折特有の遅延中性子成分を再現する小型中性子源ならではのフィッティング関数を定義して中性子回折線ピークフィッティングを行なうことで応力測定精度の向上に成功した。この手法を角度分散法にも応用していく予定である。2つ目は角度分散法中性子回折実験用の単色中性子ビーム取り出しトライアル実験の実施である。理研の小型中性子源RANSビームラインの中性子取り出し口の開口サイズを変えて、モノクロメーターへ照射される中性子拡がりを変えながら、試料に照射される中性子強度を測定した。このデータを再現するようにシミュレーションを行なうことで、最適なマルチピンホールコリメータの設計を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標準関数による明確な回折線分布解析手法の開発についても、別型セットアップによるものではあるものの、有効であることが示された。また2年目に予定しているモノクロメーターとマルチピンホールコリメータの設計を行なうためのシミュレーション用の基礎データの取得は完了し、このデータをもとに光学系の詳細設計を本年度に実施することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、まず2次元検出器を用いた中性子デバイリング測定のトライアル実験を実施する。すでに所有している検出器をいくつか試用することで最適な検出器の設置方法及び必要な検出器性能を決定し、大面積中性子検出器の設計を行なう。また、モノクロメーターとマルチピンホールコリメータの最適化設計を行ない、今年度にこれらを製作して来年度にビーム通しテストを実施することを目指す。
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Causes of Carryover |
デバイリング測定用大面積2次元検出器の為の中性子検出器試作及びテストを実施する予定であったが、現在所有している2次元検出器を使用したトライアルテストを実施することで必要な中性子検出器の性能を決定する方針としたため、昨年度の試作用中性子検出器の購入を見合わせたことが原因である。新しい2次元中性子検出器を製作するか、試料と検出器の間に設置するラジアルコリメータを製作する必要があるか、今年度に議論し決定する計画で進めている。
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