2021 Fiscal Year Research-status Report
レーザー誘起還元凝集貴金属ナノ粒子の回収過程における光捕捉効果
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21K04743
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
大場 弘則 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター, 上席研究員 (60354817)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レーザー光還元 / 貴金属ナノ粒子 / 光捕捉効果 / レーザー誘起絶縁破壊分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
貴金属リサイクルにおいてレーザー誘起還元凝集を利用した新しい金属回収技術の開発が進められているが、バッチ式処理回収による原理実証から連続処理回収に展開するにあたり還元凝集の偏在や微粒子付着等の課題解決が必要である。本研究計画では、還元凝集プロセスで生成する貴金属ナノ粒子を効率的に回収する手法を提案するため、バルク液相中において光捕捉操作による非接触での微粒子の位置制御・局在化実現可能性について検証する。これらの知見により、連続的な廃液からの貴金属回収システム概念設計の元となる基礎データが取得できるだけでなく、バルク液相中光捕捉によるナノ粒子空間制御等の学理への展開が期待できる。 本年度は、Auの還元については順調に実施することができた。当初Auイオン濃度30ppmの酸水溶液に355nmのパルスレーザー光を繰り返し50Hzで照射し、60分経過で還元が進行して残存Auイオン濃度は1ppm以下となり、水溶液下部に微粒子が生成沈澱することを確認した。一方でレーザー還元微粒子化と光捕捉光学系を組み合わせた装置製作では、レンズ以外の機器整備を行なった。また、次年度以降に実施予定であった溶存元素濃度その場分析を先に行い、塩酸水溶液中のAu濃度を波長532nmのNd:YAGパルスレーザーを集光照射してレーザー誘起ブレークダウン分光(LIBS)により測定した。その結果、検量線の作成に成功して濃度と発光強度相関が1に近いこと、検出下限は1ppm以下となることを見い出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実施者の所属している組織再編により現有装置等の移設準備を余儀なくされている。このため当初の還元率探索に用いるレーザー発振器のマシンタイム確保、実施スケジュール調整に工夫を要した。しかしながら、Auの還元については順調に実施することができた。一方でレーザー還元微粒子化と光捕捉光学系を組み合わせた装置製作では、移設準備のために実施場所を確保することが難しいことから、レンズ以外の機器整備のみとなった。よって、本来初年度に行うべき装置製作を次年度以降に実施し、次年度以降に実施予定であった溶存元素濃度その場分析を先に行うこととした。なお、研究期間内での全体の実施内容には変更は無く、当初の計画とは若干異なるものの最終目標は達成可能と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度整備に遅れのあった、レーザー還元微粒子化と光捕捉光学系を組み合わせた装置製作を年度当初より進めるとともに、Ptへの適用可能性において、還元率及び溶存元素濃度その場分析を行う。なお、貴金属の溶存元素濃度のその場分析については、国内外での報告例がほとんどないため、国際会議等で成果公表し分析専門研究者間での議論を深めて、検討結果を今後の研究展開につなげる。
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Causes of Carryover |
研究実績の概要において記載したとおり、還元微粒子化用パルス紫外線レーザー光路と光捕捉操作領域が交差する配置となるよう実験体系を整備する計画であったが、組織内移設の影響により当初整備予定物品の購入が完了していない。このため。2022年度において不足の物品購入を行い装置整備を実施する。
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Research Products
(2 results)