2021 Fiscal Year Research-status Report
超高温パルス加熱法による高温融体物性挙動解明の試み
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21K04938
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
有田 裕二 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 教授 (50262879)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 溶融凝固組織 / 超高温加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
摸擬デブリを作製するため、3000℃以上の温度に試料を加熱できるように大容量の直流電源を用いて、タングステン容器・タンタル容器・黒鉛容器いずれについても10秒程度の時間で試料を3000度以上に加熱できることを確認した。その際、投入電力と到達温度との関係を測定し今後の加熱実験での設定条件の整備も行った。 摸擬デブリ作製の予備試験としては酸化ジルコニウムを用いて加熱溶融-冷却の試験を実施し、作製した試料の断面観察を光学顕微鏡で行い溶融範囲や凝固組織についての大まかな情報を得た。その結果、容器中央部数cmが最も高温となって試料溶融が起こり、容器両端数cmは固体のままであった。今後大まかな温度分布を明らかにすることによって様々な温度条件での燃料デブリの組織に関する情報が得られることが期待される。 溶融部分の組織観察結果からは固体から液体に変化する際に容器と試料の間の隙間や試料自体の持つ空隙に試料が凝集するため試料容器中央部に大きな空洞が生成することがわかった。最も高温になる部分に試料がほとんどない状態になるため、今後装填サンプルの密度を上げるなどの改善のための工夫が必要である。また、加熱条件(保持温度や保持時間)によっては容器に用いたタングステンが脆くなり試料の断面観察に支障が出ることからタンタル容器や黒鉛容器での加熱試験も場合によって使い分けることが必要と考えられる。 以上初年度は装置の整備を実施し摸擬溶融デブリの作製と試料観察から得られる情報と課題が把握できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
欲しい温度領域のサンプルが少ないといった課題はあるものの摸擬溶融デブリの作製が容易にできることが確認できた。試料形状の工夫を実施することで今後の温度制御による摸擬デブリ作製・試料観察の試験は問題なく遂行できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最高加熱温度や冷却速度を変化させて種々の模擬デブリを作製しその凝固形態や微小組織観察を実施し、結晶構造や組成などの相関関係を明らかにしていく。 今後明らかになっていく福島第一原子力発電所から取り出されたデブリの情報と付き合わせてデブり生成時の状況についての推定を行っていく。
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Causes of Carryover |
加熱試験の条件把握に時間がかかり容器形状の確定が遅れたために発注が初年度間に合わなかった。また予定していた学生謝金も当該学生が別途奨学経費を得たため不要となった。
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