2021 Fiscal Year Research-status Report
Strain engineering for the development of a ferromagnetic europium compound and emergence of giant magnetic anisotropy
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21K05227
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高津 浩 京都大学, 工学研究科, 講師 (60585602)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 磁気異方性 / 応力 / トポケミカル反応 / XAS / 高圧実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は我々が新たに開発したユウロピウム化合物の新物質を対象に研究を進めた。様々な膜厚の薄膜を作成し、それらの磁化測定とX線吸収測定を行い、ユウロピウム化合物における磁気異方性の起源の解明を目指した研究を行った。また、粉末を用い放射光施設において圧力下のX線吸収実験を行い、相補的に研究を進めた。
① 様々な膜厚試料の磁化測定からは膜厚が薄くなるほど磁気異方性が大きく表れることを見出した。また、X線吸収測定からは価数が変化することを明らかにした。価数変化が圧力下で起き得ることをさらに明確にするために粉末試料を用いて高圧実験を行った。実験はダイヤモンドアンビルセルを用いて、圧力媒体にはダフニオイルを使い、SPring-8のBL39XUで行った。その結果、粉末試料にも薄膜に観られたような価数変化を見出した。これらの結果より磁気異方性の発現と価数変化が相関している可能性が浮き彫りとなった。
② 応力下の低温トポケミカル反応を用いて候補となる化合物を開発に取り組んだ。具体的には、基板応力下のLaドープしたSrVO3薄膜に対して金属水素化物CaH2を用いた反応を施すことでSr1-xLaxVO2+xH1-xの組成の薄膜合成に成功した。また第一原理計算から、圧縮応力下で電子ドープした組成のSr1-xLaxVO2Hより電荷補償した組成のSr1-xLaxVO2+xH1-xの方が安定であることを明らかにした。すなわち、基板応力を使うと準安定な化合物を合成できることや水素イオン量を調整できる可能性が浮き彫りになった。得られた成果は論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薄膜と粉末試料の実験を相補的に進めることでユウロピウム化合物における磁気異方性に由来する物性が明らかになりつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
① 2021年度の研究を通じて、ユウロピウム化合物における磁気異方性と価数変化の相関が浮き彫りになりつつあるため、2022年度はそれらを基盤に課題をさらに進展させる。具体的には、ユウロピウムサイトに微量に添加した非磁性イオンの圧力・応力効果を調べることを試みる。これによって、どの程度の価数変化が、磁気異方性に影響を与えるのか明確にする。
②X線磁気円二色性(XMCD)実験から磁気異方性の有無を調べる。放射光施設SPring-8 BL25SUなどの施設にて、試料をキュリー温度以下に冷却した中で、XMCD測定を行う。これによってどの成分が強磁性を担っているのか、磁気異方性に大きな影響を与えるのか明確にする。前期のビームタイムはすでに得ているが、必要に応じて後期のビームタイムなどを申請して研究をすすめる。
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Causes of Carryover |
合成容器等の必要性がでたため。次年度はその金額に合わせて基板や電子部品、合成容器等の物品費として使用する予定である。
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Remarks |
プレスリリース:脱水を伴う新しい還元反応の発見 -電気化学反応と脱水反応を組み合わせた新しい機能性材料の開拓- 2021年10月 - 2021年10月
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Research Products
(21 results)
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[Presentation] 極性金属と極性絶縁体の間における固溶体合成2022
Author(s)
村山 寛太郎, 石田 耕大, Cedric Tassel, Xiangyu Gu, 高津浩, 陰山洋, 有田亮太郎, Craig M. Brown, Valerie Dupray, Simon Clevers, 酒井英明
Organizer
日本セラミックス協会 Annual meeting 2022
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