2023 Fiscal Year Research-status Report
コーヒーによる非アルコール性脂肪肝炎関連肝細胞癌の予防メカニズム
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21K05431
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
利國 信行 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40620977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 安保 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (10337173)
石垣 靖人 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (20232275)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 非アルコール性脂肪肝炎 / コーヒー / 発癌予防 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
5大癌のひとつである肝細胞癌(hepatocellular carcinoma, HCC)の基礎疾患として、非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis, NASH)の割合が近年増加しており、NASHからHCCへの進展を抑制することは重要な課題である。近年の疫学研究ではコーヒーの習慣的飲用による肝発癌抑制効果が示されている。我々は、そのメカニズムの一端を解明し、NASH関連HCC予防としてのコーヒー飲用の有用性を裏付けるエビデンス(証拠)を得ることを研究目的とした。そこで、高脂肪食によってNASHからHCCを発症するモデルマウスを用いてHCC発生のコーヒーによる抑制効果を確認し、エピジェネティクス(遺伝子発現を制御するメカニズム)の観点からそのメカニズムを探る計画を立てた。普通食摂取群(A群)、高脂肪食摂取群(B群)、高脂肪食かつコーヒー摂取群(C群)に群分けしHCC発生の差異を観察した。18週後にマウスをsacrificeし、肝表面のHCC発生個数を調べたところ、その中央値は、A群0個、B群5.5個、C群2.5個と差が認められた。各群の標本を癌部と非癌部に分けて保存し、mRNA発現の制御に関与するマイクロRNA(miR)の発現を網羅的に調べた。我々はコーヒーによって非癌部におけるmiR発現に変化が生じHCC発生に差が生じると考え解析した。その結果、mmu-miR-135a-1-3pの発現がB群よりもA群とC群で有意に多く、mmu-miR-66c-3pの発現はその逆に少なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
凍結保存していた標本のラベルが剥がれていたものがあり、癌部と非癌部の区別のつかない標本が出てきたため実験が滞った。また、有意差のあったmiRに対応するmRNAの候補が多く、絞り込みに時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
コーヒー摂取によって非癌部のmmu-miR-135a-1-3p発現が増加していたことより、このmiRが肝発癌抑制的に働く可能性が示唆された。逆に、mmu-miR-66c-3pは肝発癌促進的に働く可能性が示唆された。今後、これらのmiRに対応するmRNA及びそれがコードする蛋白を解析し、肝発癌に影響しているかどうか調べる予定である。
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Causes of Carryover |
NASH関連HCCの肝発癌に関連すると考えられるmiRが同定されたが、それらに対応するmRNAの候補が非常に多く絞り込みに時間がかかっているため次年度に実験が持ち越しとなった。今後、候補を絞り込みそれがコードする蛋白を解析し、肝発癌に影響しているかどうかを調べる予定である。
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