2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Microencapsulation System for Functional Nanoparticles via Carbohydrate Polymer
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21K05451
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 直人 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (70323251)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電子線トモグラフィ / ナノろ過 / システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、糖質高分子を用いる機能性ナノ粒子のマイクロカプセル化システムの確立をめざして、加圧熱水反応場を活用するナノメートルスケールの微粒子調製技術を用いて試料を作成する。この研究によりナノメートルスケール微粒子における糖質高分子鎖や階層構造が多様な動的・静的性質の変化に及ぼす影響を解き明かすために、前年度に引き続いて2つの課題と、加圧熱水反応場、ケルセチン抽出、ナノろ過複合システムから調製されたナノ粒子をマイクロカプセル化する準備を進めた。 糖質高分子の分岐ー線状トポロジと物性解析法の構築について、糖質高分子を用いるナノ粒子分散系の基礎的なデータを取得するため、SEC-LSによる澱粉ナノ粒子分散液のクロマトグラフの解析の準備が整い、これらの結果と粘度計測結果との相関分析を行った。STEMによる電子線トモグラフィを用いるナノ粒子群のメソスケール構造観察を行った。 玉ねぎ外皮からのケルセチン抽出・濃縮の検討について、玉ねぎ外皮には有用な成分が含まれているが、有効利用されている割合が少なく廃棄されていることから、ナノろ過を用いた玉ねぎ外皮からのケルセチンの精製・濃縮を目標に、ケルセチンの精製を実施した。 機能性ナノ粒子分散調製液のマイクロカプセル化システムの開発について、上述の2つの課題の結果に基づいて、生理活性を有する機能性ナノ粒子分散液のマイクロカプセル化のため、トマト茎葉、脱脂米糠等の熱水処理や加圧溶媒による抽出調製を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖質高分子の分岐ー線状トポロジと物性解析法の構築について、糖質高分子を用いるナノ粒子分散系の基礎的なデータを取得と、澱粉ナノ粒子分散液のSEC-LSによるクロマトグラフの解析の準備が整い、これらの結果と粘度計測結果との相関分析を行った。STEMによる電子線トモグラフィを用いるナノ粒子のメソスケール構造観察について、分子量の小さな分散系では画像解析が困難であったことから、この方法が適用できるナノ粒子分散系の選定、観察試料作成、透過型電子顕微鏡用の試料台作成、トモグラフィ画像作成のための観察条件と解析法を検討した。 タマネギ外皮からのケルセチン抽出・濃縮について、水熱処理によるケルセチン抽出液の調製、ナノろ過を用いたケルセチンの精製・濃縮を目標に、水熱処理によるタマネギ外皮からのケルセチン抽出、吸引ろ過・遠心分離による前処理、ナノろ過システムを用いてケルセチンの精製を実施した。なお、加圧溶媒抽出法によるケルセチン抽出液では、ナノろ過がうまくできなかった。 機能性ナノ粒子分散調製液のマイクロカプセル化システムの開発について、上述の2つの課題の結果に基づいて、生理活性を有する機能性ナノ粒子分散液のマイクロカプセル化のため、トマト葉残渣、脱脂米糠等の熱水処理や加圧溶媒による抽出調製を検討した。 また、トマト葉残渣からの水溶性グリセロール抽出物のナノろ過による抽出方法の学会発表、生理活性成分の抽出のための加圧溶媒抽出によるソバ残渣の解重合の論文発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
機能性ナノ粒子分散液のマイクロカプセル化システムの開発をめざして、糖質高分子の分岐-線状トポロジと物性解析法の構築について、澱粉ナノ分散液のSEC-LCによるクロマトグラフの解析結果から、澱粉分子構造に係わる各種パラメータと固有粘度の関係を取りまとめる。電子線トモグラフィ画像とソフトウェアによる観察では、画像取得・解析の可能な分散系におけるナノ構造体の立体画像と、研究代表者が提示したモデルの比較を行い、新しいメゾスケールモデルを提案する。タマネギ外皮からのケルセチン抽出・濃縮においては、精製ケルセチンの量を増やす手順に工夫を施す。 機能性ナノ粒子分散調製液のマイクロカプセル化システム開発について、加圧熱水反応場、機能性成分抽出、ナノろ過複合システムから調製される機能性成分と澱粉ナノ分散液をホモジナイザで乳化し、この調製液の顕微鏡観察、粘度測定等を行う。微細化と噴霧乾燥プロセスによって調製された微粉末の性質の測定とともに、ケルセチン以外の生理活性成分を用いるマイクロカプセル化を実施する。 以上の結果に基づいて食品機能性が付与されたナノ分散系から粉体調達までの新しい素材加工技術の基礎的な知見を提供する。
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Research Products
(3 results)