2021 Fiscal Year Research-status Report
ウルトラファインバブルを用いた乳化剤フリーエマルション作製技術に関する研究
Project/Area Number |
21K05479
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
多田 佳織 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (10611775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西内 悠祐 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (00455172)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ウルトラファインバブル / エマルション / 乳化剤フリー / 分散安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品分野等で広く利用されている乳化分散において,液滴を微細化させ分散安定性を高める目的に乳化剤(界面活性剤)を添加する一方,多量の乳化剤の添加は製品の品質や風味の低減,安全性の低下を引き起こす。これらの課題に対し,乳化剤を使用しない,あるいは使用量を削減するための乳化分散技術が求められている。 本申請では,乳化剤に替わる素材としてウルトラファインバブル(UFB)を導入した乳化分散技術の研究開発を進めている。UFBとは 直径1 μm以下で定義されている微細な気泡であり,通常の気泡とは明らかに異なる特徴を示すことが知られている。UFBはその微小さから長期間溶液中で分散することが確認されており,UFBは液中で単独で存在するよりも,そこに存在する油滴や固体に付着してより安定的に存在すると考えられている。更にUFBは弱酸性からアルカリ領域でマイナスの電荷を帯びることが分かっており,その帯電性(静電的な反発性)をもって合泡化が阻害される。本申請では,この現象を逆転的に捉え,連続相にUFBを加えて油滴を付着させ,UFBが持つ合泡阻害を乳化剤の代用とした利用を検討しており,UFBを導入した乳化分散技術を用い,乳化剤低減あるいは不要とする乳化分散安定化技術の検討を進めている。 今年度は乳化分散に最適なUFB状態の検証のため,作製したエマルションの分散性や分散安定性についての評価をおこなった。その結果,UFBを用いない系,連続相にUFBを用いた系,またその比率を変化させた系のそれぞれにおいて,乳化分散挙動に差異を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は乳化分散に最適なUFB状態の検証を行なった。 これまでの研究で,乳化分散させた後のUFB中に含まれるUFBの濃度がその分散挙動に大きく影響をおよぼしていることがわかってきた。そのため,本年度では乳化分散に適したUFBの状態についての検証をおこなった。具体的にはエマルション中に含まれるUFB濃度を変化させ,その分散挙動を評価し,UFBの存在がエマルションの分散性および分散安定性におよぼす効果について検証した。 以下に示すUFB比率は連続相が全てUFB水の場合を100 %とする。今回使用したUFB数密度は3.0×107 個/mLであった。他の比率については超純水を加水することによって調製した。 エマルション作製後7日間の経時変化について観測をおこなった。油滴粒子群のマイクロオーダーの経時変化から,UFB比率0 %,100 %の系は7日目に粒子径が大きく変化が見られ,肥大化したのに対して,25 %および50 %の系は7日間で粒子径は安定している傾向が確認できた。この傾向はナノオーダーの粒子群にも同様に確認できた。また,溶液中のUFB比率によって油粒子の移動(クリーミング)速度に差異が見られ,UFB比率50 %の系が最も移動度が小さくなった。同様に透過率からもUFB比率0 %,100 %の系は変化が大きくなったのに対し,25 %,50 %の系は変化が小さく,特に50 %は最も変化が小さくなる結果が得られた。 他方,経時変化より得られたゼータ電位値の傾き値をUFBの数密度に対してプロットすると高UFB比率の場合,高いゼータ電位を保持する傾向を確認できた。また,作製から1ケ月後のエマルションのサンプル瓶を混和転倒させたところ,再度の分散性を示すといった高い再分散性を示した。これはゼータ電位を保持しているため,油滴の合一化から相分離までは起こらないためと推測される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もウルトラファインバブルエマルションの分散挙動を検証を進めることで,UFBが乳化剤の代替えとして使用可能であるかの知見の充足を目指す。 令和3年度では乳化分散に適したUFBの状態について検証を実施したため,令和4年度ではまず異なる気体種を用いたウルトラファインバブルエマルションの検討をおこなう。先の研究では空気を取り入れUFBを作製している。このUFBで取り入れる気体種を変更した場合,エマルションの分散挙動にどのような影響をおよぼすかを検討する。例えば,気体種として窒素を導入した場合,UFBが乳化剤の替わりとして機能するだけでなく,酸化防止剤としての役割を果たすか検討する。 また,乳化剤入りエマルションとウルトラファインバブルエマルションにおける分散挙動の比較についても検証を進める予定である。これまで液-液二相混流方式を用いて乳化分散状態の評価を進めており,先の研究より,この乳化分散技術は乳化剤の低減に効果があることが明らかとなってきた。今後は条件を統一した乳化剤入りエマルションとウルトラファインバブルエマルションを比較することで,UFBが乳化剤と同等の働きをするのか検証をする。 その他,分散相(水中に分散させる油分)を変更した場合のウルトラファインバブルエマルションの分散挙動の評価についても併せて検討していく。
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