2023 Fiscal Year Annual Research Report
ブドウ果実のメタボロミクスおよびトランスクリプトミクスによる成熟制御機構の解明
Project/Area Number |
21K05578
|
Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
高居 恵愛 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (70589770)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 彰 京都大学, 農学研究科, 教授 (50442934)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 果実成熟 / 植物ホルモン / アブシジン酸 / 遺伝子発現解析 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
非クライマクテリック型果実であるブドウの成熟制御機構を解明するため、成熟表現型の異なる果実を用いて代謝産物(特に植物ホルモン)のメタボローム解析および網羅的遺伝子発現のトランスクリプトーム解析(RNA-Seq)を行った。具体的には、①4種類の異なる台木に接木した赤色ブドウ‘ルビーロマン’、②環状剥皮処理した‘ルビーロマン’、③成熟・着色パターンの異なる赤色系品種‘安芸クイーン’と‘ルビーロマン’およびそれらの親である‘巨峰’と‘藤稔’、④‘ルビーロマン’と‘安芸クイーン’の有核栽培と無核栽培、以上の処理で得られた各段階の成熟・着色表現型の異なる果実における代謝物(アントシアニンなどの二次代謝物)及び生理活性物質(植物ホルモンなど)の変化、さらに成熟関連遺伝子の発現を解析した。その結果、ブドウ果実成熟過程において各種植物ホルモン間でクロストークが存在し、アブシジン酸(ABA)は成熟に重要な役割を果たすことが示唆された。また、同じ品種で異なる処理による果実の成熟進度が異なるが、着色の進行パターン(成熟前期に着色するタイプと成熟後期に着色進行するタイプ)に影響がない。着色の進行パターンは品種間差が大きく、内生ABA含量の変動に関連し、これらの形質は遺伝する可能性が示唆された。さらに、RNA-Seq解析では、果皮のABA生合成関連遺伝子の発現量は内生ABA含量と一致しなく、果実におけるABAは少なくとも一部が他の組織から転流した可能性が示唆された。
|