2021 Fiscal Year Research-status Report
温湿度環境を考慮した木製摩擦接合の解析モデルの提案と長期性評価
Project/Area Number |
21K05720
|
Research Institution | Toyama Prefectural Agricultural |
Principal Investigator |
若島 嘉朗 富山県農林水産総合技術センター, 富山県農林水産総合技術センター木材研究所, 副主幹研究員 (10446635)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北守 顕久 大阪産業大学, 工学部, 准教授 (10551400)
松原 独歩 近畿大学, 産業理工学部, 講師 (10560154)
清水 秀丸 椙山女学園大学, 生活科学部, 講師 (70378917)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | クリープ / 応力緩和 / メカノソープティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、木材締付力の構造利用することの長期的な信頼性を明らかにするため、木材締付力の解析モデルの作成とともに、解析に必要な材料定数を得る各種長期性能評価試験を実施するものである。 2021年度は各機関でスギ試験体に対して長期的性能評価試験を開始した。代表研究機関では、恒温恒湿室環境及び通常の室内環境においてクリープ試験を、乾湿繰り返い環境において応力緩和試験を開始し、大阪の共同研究機関では恒温状態で、福岡の共同研究機関では室内環境でクリープ試験を開始した。クリープ試験は、恒温恒湿環境(20℃65%)、恒温環境(20℃)、温湿度変動下におけるクリープ挙動の違いにより、温度及び湿度のクリープに与える影響を把握するものである。およそ200日程度の試験の結果、恒温恒湿環境においてクリープの進展が最も小さく、恒温環境、温湿度変動下の順でクリープが大きくなることが明らかになってきた。一方、乾湿繰り返し環境(温度20℃一定、湿度40%⇔85%)における締付力は、メカノソープティブによる大きな低下の進行が見られたが、200日経過後には45%程度の維持が確認された。 一方、梁サイズのカラマツ集成材に対して締付力を与えた状態で20℃一定の水に72時間浸漬させ、その後自然環境で乾燥させる促進処理試験を実施した。これまでの小試験体に対する同様の処理では、締付力が40%程度に低下するが、本試験では1月程度経過後で80%程度の締付力を維持しており、さらに経過を観察する必要があるが、試験体サイズの影響が推察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り各研究機関でクリープ試験を開始した。ただし、計測にはデータロガーを用いずマイクロメータで行う初めての手法であったため、計測初期にややデータが不安定であった。しかし、200日程度の計測によりほぼ予想通りに試験環境に違いによる影響が明らかになってきた。一方、乾湿繰り返し環境及び促進処理による応力緩和試験はほぼ計画通り進捗している。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は各機関で引き続きクリープ試験を実施するが、マイクロメータによる計測に加えてひずみゲージ、変位計による計測も行い、より正確なデータの収集に努めていく。また、データの収集と合わせて解析モデルの構築に取り組み、解析的な長期性能評価について検討を行う。
|
Causes of Carryover |
2021年度に開始したクリープ試験は、マイクロメータによる計測を基本としており、これまでにない手法であることから、各機関で予備試験を実施する予定であった。しかし、コロナの影響で予備試験を実施せず本試験を開始したため残額が生じることとなった。2022年度において、再度クリープ試験を開始してより正確なデータを収集し、研究目標の達成に向けて研究を加速させる。
|