2022 Fiscal Year Research-status Report
サクラマスを用いたテロメア長に対する親の生活史形質の影響および寿命との関連性
Project/Area Number |
21K05755
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
山本 俊昭 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (30409255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北西 滋 大分大学, 理工学部, 准教授 (90552456)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テロメア / サクラマス / 個体群間比較 / 緯度クライン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象であるサクラマスの生活史には顕著な二型が見られる。ひとつは河川の成長のみで成熟に達する残留型と、もうひとつは河川で成長した後、海を回遊して再び産卵のため母川に戻ってくる降海型である。本研究では、残留型と降海型オスの精子および血液を採取し、それぞれのテロメア長をリアルタイムOCRによって解析し、生活史形質間あるいは年齢および体サイズとの関連性を調べている。その結果、地域個体群によってその関係性は変化しており、降海型が多く分布する道北地方では降海型の精子テロメア長が長いのに対し、残留型が多く分布する道南地域および報告地方では残留型の精子テロメア長が相対的に長いことが示された。さらには、降海型の場合では道北のオスのほうが道南のオスよりもテロメア長が長く、緯度クラインが検出された。また、緯度に沿ったテロメア長の変化だけでなく、河川規模が精子テロメア長に影響していることが示唆された。要因は現在検討中であるが、大きな河川規模である場合にはテロメア長が長いことで生残率あるいは成長が高まる可能性が見られる。 もう一つの実験としては、人為的な交配実験を行い、親の精子テロメア長が長いことによって実際に子のテロメア長が影響しているのかどうかを検討することを行っている。卵サイの違いによるテロメア長への影響よりも精子テロメア長のほうが大きいことが示されていることからも、テロメア長の長短は個体の生存等に影響していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では大きく3つの課題を挙げている。一つ目の課題では、親の生活史形質と配偶子のテロメア長の関係性を様々な河川で調べることである。これに関しては、繁殖期に河川でサンプリングすることができ、解析も順調に進んでいる。2つ目の課題は、半同胞集団を作成し、親と子のテロメア長の遺伝性に関する研究である。こちらも交配集団が無事にふ化し、親の配偶子のテロメア長と子のテロメア長との関連性が明らかになっていることからも順調である。3つ目の課題は現在進めており、今年度中にある程度の成果が得られると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も継続的に複数の個体群で降海型および残留型オスを採取し、配偶子のテロメア長および血液におけるテロメア長を調べて、どのような関係性があるのかを調べる予定である。また、2つ目の課題では、テロメア長の伸長作用であるテロメアらーぜ活性の動態を調べてたいと考えており、現在その準備を行っている。さらには、スモルト期のテロメア長と回帰との関連性は、5月に現地にてサンプリングを行い、スモルト期におけるテロメア長を把握する予定である。
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Causes of Carryover |
当初考えていた旅費が安く抑えられたため、最終年度に持ち越すこととした
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Research Products
(3 results)