2021 Fiscal Year Research-status Report
卸売市場制度「大改革」が卸売市場の流通機能と園芸産地・生産者へ与える影響の解明
Project/Area Number |
21K05816
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
内藤 重之 琉球大学, 農学部, 教授 (30333397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉村 泰彦 琉球大学, 農学部, 教授 (80405662)
矢野 泉 広島修道大学, 商学部, 教授 (90289265)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 卸売市場法 / 取引ルール / 開設者 / 卸売業者 / 仲卸業者 / 第三者販売 / 直荷引き / 商物分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年1月に青果部または花き部を開設・運営する全国の中央卸売市場の開設者(地方自治体)に対してアンケート調査を郵送法により実施した(調査票の配布数は39票、回収数は37票、回収率は95%)。その結果、次のことが明らかになった。 2018年の卸売市場法改正により、取引規制や開設区域といった卸売業者や仲卸業者の自由競争を制約する条文が廃止され、基本的な取引ルールは開設者が市場条例や業務規程に定めるなど各卸売市場の裁量に委ねられることになった。このような状況の下で、主要な取引ルールである卸売業者による第三者販売、仲卸業者による直荷引き、商物分離の原則禁止に関する規定に関しては、いずれも「概ね廃止」または「廃止」とした自治体が多く、これらをあわせた割合は商物分離が92%、直荷引きが78%、第三者販売が73%であった。 中央卸売市場の条例や業務規程の改正に関する議論の過程でこれらの取引規制に関する規定を廃止することに対する業者の反応をみると、第三者販売、直荷引き、商物分離の順で反対意見が強くなっている。個票をみると、反対意見が強かったにもかかわらず、規制緩和を行った自治体もそれなりにあるが、反対意見が強かったために規制緩和を行わなかったとみられる自治体も少なくない。 今回の卸売市場法の改正前における第三者販売と直荷引きの割合をみると、花き部の卸売業者による第三者販売の割合は低いものの、青果部の卸売業者による第三者販売や青果部、花き部ともに仲卸業者による直荷引きはある程度の割合で行われていた。しかも、改正卸売市場法の施行後まもない段階で、すでにそれらが増加しているところが2~4割近くみられる。新型コロナウイルス禍で青果物、花きの需給や流通にも大きな影響が及んでいることを考慮する必要があるが、制度改革によって第三者販売や直荷引きの動きが一部でより活発になっているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大が収束せず、ヒアリング調査がほとんどできなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大がある程度収束した段階で、農林水産省や主要な中央卸売市場の開設者に対してヒアリング調査を行う。 2022年度以降については当初の研究計画どおり遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウイルス感染拡大が収束せず、ヒアリング調査の実施に必要な旅費が執行できなかったこと、アンケート調査の発送準備やデータ入力にアルバイトの雇用を予定していたが、自ら実施したため、人件費・謝金を執行しなかったことなどから、次年度使用額が生じた。 今年度に実施できなかったヒアリング調査は次年度に実施することにしており、今年度の未使用額はこれで解消される予定である。 翌年度分として請求した助成金は当初計画どおり執行する予定である。
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Research Products
(1 results)