2022 Fiscal Year Research-status Report
卸売市場制度「大改革」が卸売市場の流通機能と園芸産地・生産者へ与える影響の解明
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21K05816
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
内藤 重之 琉球大学, 農学部, 教授 (30333397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉村 泰彦 琉球大学, 農学部, 教授 (80405662)
矢野 泉 広島修道大学, 商学部, 教授 (90289265)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 卸売市場法 / 卸売業者 / 第三者販売 / 商物分離 / 直荷引き |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年8~12月に全国の青果および花きの卸売業者10社にヒアリング調査を行うとともに、2023年1月に青果または花きを取り扱う全国の中央卸売市場の卸売業者に対してアンケート調査を郵送し、返信用封筒にて回収した。調査票の配布数は86票(青果68票、花き18票)、回収数は47票(青果36票、花き11票)、回収率は55%(青果53%、花き61%)である。調査結果は概略次のとおりである。 2018年の卸売市場法改正に伴って多くの卸売市場において第三者販売、商物分離、直荷引きの原則禁止の規定が廃止または概ね廃止されたが、改正法の施行後2年余りの短期間に、第三者販売の割合を高めた業者が青果、花きともに4割近くみられ、商物分離の割合を高めた業者も青果では3割弱、花きでも2割弱みられる。 多くの卸売市場において第三者販売と商物分離の原則禁止の規定が廃止または概ね廃止された影響については、青果、花きともに「マイナスの影響の方が大きい」とする卸売業者はほとんどみられず、「プラスの影響の方が大きい」とするところがかなりみられた。これに対して、直荷引きの原則禁止の規定が廃止または概ね廃止された影響については、中央卸売市場における仲卸業者の経由率が高く、しかも大規模な仲卸業者が存在する青果では「マイナスの影響の方が大きい」が6割弱を占める一方、仲卸経由率が低く、大規模な仲卸業者がほとんどない花きでは「影響なし」が過半数を占めている点は注目に値する。 今後の意向については、第三者販売、商物分離ともに増やしたいとする業者が多く、今後の動向が注目される。 なお、経営上の課題としては、集荷や物流上の課題を挙げる業者が多く、販路開拓を指摘する業者もみられるが、地方都市の卸売市場では地産地消の推進や産地市場機能の強化を今後の経営戦略としているところが少なくない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目に開設者の取引規制への対応、2年目に卸売業者の事業展開と事業方針に関する実態をそれぞれ解明することとしていたが、それらが概ね達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年である令和5年度には当初の予定どおりヒアリング調査およびアンケート調査により、仲卸業者の事業展開と事業方針に関する実態を解明する方針である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルス感染症の影響により青果物卸売業者に対するヒアリング調査が一部できなかったためである。 2023年度は仲卸業者に対するヒアリング調査およびアンケート調査を主に実施する計画であるが、2022年度に実施できなかった卸売業者に対するヒアリング調査もあわせて実施する予定である。
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Research Products
(9 results)