2023 Fiscal Year Annual Research Report
Prediction of mastitis using antimicrobial components.
Project/Area Number |
21K05893
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
磯部 直樹 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (80284230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久枝 啓一 岡山理科大学, 獣医学部, 准教授 (20844781)
新居 隆浩 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (90804873)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳房炎 / 抗菌物質 / 体細胞数 / ウシ / ヤギ |
Outline of Annual Research Achievements |
乳房炎による被害は深刻であるが,予防・治療法が確立していないため治癒率は低い.乳房内での抗菌物質等の自然免疫関連物質が不足すると乳房炎に陥りやすいと発想し,それらに着目した乳房炎予知・予防システムの開発を目的とした。1年目では,乳房炎の予知を行うため、乳中自然免疫関連物質を調べた結果、非感染時の乳中に含まれる免疫関連物質(特にlingual antimicrobial peptide(LAP), S100A7)の濃度が高いと、乳房炎がかかりにくいことを発見し、これらの物質の濃度を測定することにより乳房炎を予知することができると考えられた。そこで2年目は乳房炎にかかりやすい動物に対して、かかりにくくするための免疫力増強法を探った結果、3日間搾乳を停止するショート乾乳を実施すると、IgA, Cathelicidin-2,およびlactoferrin(LF) 濃度が一時的に上昇した。このことから一時的に搾乳を停止すると乳腺免疫力が上がり乳房炎にかかりにくくなると思われた。 最終年はワクチンを用いた乳腺の免疫力増強を目指した。乳房炎用ワクチンをウシに投与した(分娩前2回及び分娩後1回)時、分娩後のワクチン抗体価および抗菌物質(LF およびLAP)濃度が非投与に比べて増加した。また、ヤギにワクチンを単回投与した後、毎週乳を採取して分析した結果、ワクチン接種した方が、乳中抗菌物質(S100A7、S100A8およびdefensin)濃度が増加した。これらのことから、ワクチンを投与することにより、乳腺の抗菌物質産生が増進されることが明らかになり、これにより乳房炎発症を予防できる可能性が示された。 以上、抗菌物質を用いて乳房炎の予知を行い、感受性の高いウシに対してはショート乾乳やワクチン接種を行うことで乳房炎を予防できることが分かった。本法は今後の乳房炎防除に多大な貢献ができると思われる。
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