2023 Fiscal Year Annual Research Report
筋損傷回復時の筋線維タイプ決定における運動神経の重要性
Project/Area Number |
21K05896
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
澤野 祥子 麻布大学, 生命・環境科学部, 教授 (60403979)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 筋損傷回復 / 筋萎縮 / 筋線維組成変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋線維タイプは後天的に変化することが分かっているが、単一筋線維レベルでタイプ変化を遂げる際、筋線維を支配する運動神経がタイプ変化にどの程度影響を及ぼすのかほとんど分かっていない。筋線維は各々特定のタイプの運動神経からの支配を受けているため、線維タイプ移行成立の際にも各々のタイプに呼応する運動神経の再神経支配が必須であると予想される。そこで本研究では、筋損傷から骨格筋再生途上で増加する「ハイブリッド筋線維」の増加とその後の減少が坐骨神経切除によって影響を受けるか検討することで運動神経の役割を明らかにすることを目指した。 まず、C57BL/6Jマウスの前脛骨筋をカルディオトキシンにより損傷させ、10日後の前脛骨筋の動態を筋横断切片を作製し、HE染色により中心核の有無、損傷回復の程度を確認した。また、損傷10日後のマウス前脛骨筋において、筋分解において発現が上昇するユビキチンリガーゼであるatrogin-1およびMuRF-1の発現量をウェスタンブロッティングにより評価した。その結果、筋萎縮マーカーであるatrogin-1およびMuRF1の発現上昇が認められた。また、マウス骨格筋幹細胞C2C12を筋管細胞に分化させたのち、天然素材由来エキスを共存させることにより、筋合成系の活性化およびミオシン重鎖発現量の増加、筋分解抑制に寄与することを見出した。加えて、C57BL/6Jマウスに当該成分を1ヶ月間投与したところ、マウスヒラメ筋および長趾伸筋の筋線維断面積の分布が増大の方向にシフトしており、断面積平均値に有意な増加が認められた。したがって、天然素材由来エキスの投与により筋肥大が起こったことが示唆された。しかしながら、この筋線維変化時における、筋再生時の神経支配と筋線維組成との関連性については、明確なデータは得られなかった。
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