2023 Fiscal Year Research-status Report
アルギニン製剤の給与が定時胚移植後の受胎率に及ぼす影響
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21K05902
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
平田 統一 岩手大学, 農学部, 准教授 (20241490)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アルギニン / 経口給与 / 定時人工授精 / 肉用牛 / 繁殖生 / 受胎率 / 卵胞発育 / 卵子成熟 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルギニン(Arg)製剤の経口給与が、排卵卵胞の十分な成熟を制限することを意図した定時人工授精(tAI)プログラムにおいて、卵胞の成熟度合いや受胎率に及ぼす影響を検討した。 供試牛は黒毛和種未経産および経産牛で、試験期間中は自家産ロールサイレージを飽食給与し、配合飼料2 kg/日・頭を給与した。給与群には、tAIをDay 0としてDay -10からDay -1までの10日間、ルーメンバイパス性を施したArg製剤を100g/日・頭(有効Arg量として41 g/日・頭)給与した。対照群には給与しなかった。Day -7にPGF2α製剤を頚部筋肉内投与し、腟挿入プロゲステロン(P4)・エストラジオール(E2)安息香酸エステル配合剤を5日間短期装着した。Day-2に抜去し、Day -1にGnRH合成剤を頸部筋肉内投与した。発情の有無にかかわらずDay 0の9:00頃にtAIを行った。超音波装置を用い卵胞や黄体の数、大きさを記録し、血漿中P4とE2濃度を測定した。 tAI後の受胎率は、対照群が55.6%(5/9頭)、給与群が33.3%(4/12頭)であり、両群間に有意な差はみられなかった。対照群と給与群における最大卵胞径および血漿中P4濃度は、Day -7、-2、-1のいずれにおいても有意な差はみられなかった。血漿中E2濃度の平均値±標準偏差は、Day -7が7.18±2.86と7.47±1.09 pg/ml、Day -2は6.68±1.05と8.96±3.93 pg/ml、Day -1は7.80±1.98と10.24±3.01 pg/mlで、給与群が対照群と比較してDay -2で高い傾向(P<0.10)があり、Day -1で有意に(P<0.05)高かった。これらのことから、経口給与されたArgは卵胞の成熟に関与し受胎率を向上させる可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究拠点の岩手大学農学部附属寒冷フィールドサイエンス教育研究センター・御明神牧場の施設大型改修が2022年度に実施され、研究室の使用が6ヶ月程度制限された事から、研究計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
アルギニン(Arg)製剤がウシの卵胞発育および卵子成熟に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、牛胚回収と移植試験を行う。 黒毛和種雌牛を3頭用いて、発情周期の任意の時期(Day 0)に超音波診断装置による卵巣内卵子の経腟採卵(OPU)を行い、Day 4 に持続性卵胞発育刺激製剤およびPGF2aを、Day 8 にGnRHを筋肉内投与する。Day 9 に人工授精し、Day 16に子宮洗浄による胚回収を行い、PGF2aを投与する(対照区)。続いて、Day 37 にアントリン AL(30AU)およびレジプCを筋肉内投与して、Arg製剤(下垂体機能検査薬アルギニン点滴静注30g、600 ml/頭)を静注する。Day 41にコンサルタンを筋肉内投与する。Day 42に人工授精し、Day 49に子宮洗浄による胚回収を行う(Arg区)。回収した胚はガラス化凍結保存する。Day 4 および 8、16、37、41、49に超音波装置による卵巣観察を行い、18G採血針、真空採血管を用いて採血(ヘパリン加 30 ml)し、血漿中プロジェステロン(P4)と血漿中エストラジオール(E2)濃度を測定する。 一方、40頭程度の受胚牛に対して10日間の経腟プロジェステロン徐放剤(PRIDデルタ)を装着し、翌日にGnRHを投与し、7日後に凍結牛胚を融解して移植する。あるいは自然発情観察後8日に移植する。その後35日前後に妊娠診断を実施する。胚移植時に超音波装置による卵巣観察を行い、18G採血針、真空採血管を用いて採血(ヘパリン加 30 ml)し、血漿中P4とE2濃度を測定する。 黒毛和種雌牛供胚牛と受胚牛 (Arg給与群20頭、対照群20頭)はパドックにて群管理し、ロールサイレージを飽食、水は自由飲水とする。
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Causes of Carryover |
研究拠点の岩手大学農学部附属寒冷フィールドサイエンス教育研究センター・御明神牧場の施設大型改修が2022年度に実施され、研究室の使用が6ヶ月程度制限された事から、研究計画に遅れが生じた。 2024年度に最終実験として、アルギニン(Arg)製剤がウシの卵胞発育および卵子成熟に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする、牛胚回収と移植試験を行う。
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