2023 Fiscal Year Annual Research Report
牛伝染性リンパ腫ウイルスの感染評価系の構築とエンベロープ多様性の解析
Project/Area Number |
21K05943
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
小林 朋子 東京農業大学, 農学部, 准教授 (30647277)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 牛伝染性リンパ腫 / 牛伝染性リンパ腫ウイルス / レトロウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
牛伝染性リンパ腫ウイルス(bovine leukemia virus: BLV)のエンベロープ配列は、BLVゲノム中で最も多様性に富むことから、遺伝子型の分類に使われており、これまでに11種類の遺伝子型が報告されている。この中で、最も世界に蔓延している遺伝子型は1型であり、最も家畜牛に効率よく感染するようなエンベロープ配列をもつ可能性がある。しかしながら、感染性を定量する実験系が存在せず、エンベロープ配列の違いが本当に感染性に影響しているかどうかについては、不明であった。最終年度には、新たにテトラシステインタグ配列をBLVゲノム上に挿入し、感染を定量可能なBLV感染性分子クローン(pBLV-IF-TCtag)の作製を目指した。作製した分子クローンを293細胞に形質転換し、上清中に放出されたウイルスRNAをリアルタイムPCR法により定量したところ、テトラシステインタグを挿入しても、ウイルス粒子か効率的に上清に放出されてることが分かった。この上清をHela細胞に感染させ、テトラシステインタグと結合すると蛍光を発するReAsHを反応させ、フローサイトメーターにより蛍光輝度の測定を行った。その結果、TCtag挿入BLVを感染させた細胞は特異的な高い蛍光強度を示すことが分かった。 その他に、研究期間全体を通じて、様々な種類のウシ科動物に感染するBLVのエンベロープ配列の多様性についても詳細に分子系統解析を行った。その結果、BLVはエンベロープ配列により在来牛由来のBLVと家畜牛由来のBLVに大きく分けられること、また、在来牛由来BLVエンベロープ配列の一部に非同義置換が検出されたことから、BLVは宿主域を拡大するように適応進化していることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)