2022 Fiscal Year Research-status Report
dsRNAレオウイルスの複製機構の解明から創薬開発への基盤研究
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21K05957
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岩田 祐之 山口大学, 共同獣医学部, 教授 (40193750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 周作 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (20534473)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レオウイルス / ウイルス複製 / エンドサイトーシス / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではdsRNAレオウイルスの複製機構を解明し、これを阻害する薬剤を探索して創薬開発の一助とすることを目的とし、オルビウイルス(イバラキウイルス、IBAV)をモデルとして、2022年度は以下の研究を実施した。 ① エンドサイトーシスによるウイルスの細胞侵入機構:エンドサイトーシス の3経路(マクロピノサイトーシス、カベオラ介在性、クラスリン介在性)のインヒビターを用いてウイルスの取り込み増殖量について確認実験を行ったところ、オルビウイルスはマクロピノサイトーシスによって細胞内に侵入することが確定した。 ② ウイルス複製におけるオートファジー解析:アミノ酸不含培地は可逆的にmTORC活性を抑制するが、ウイルス増殖を促進した。一方、mTORC阻害剤であるTorin1及びRapamycinはウイルスを増殖させなかった。また、これまで他のオルビウイルスで報告のあるオートファジー経路を利用した増殖については確認されなかった。 ③ウイルス感染細胞におけるアポトーシス:ウイルス感染細胞におけるアポトーシス誘導及びアポトーシス経路を利用したウイルス増幅について検討したが、弱いアポトーシス活性を示したが、ウイルス増殖に影響を及ぼすものではなかった。 ④エンドソームの酸性化の影響:エンドソームの酸性化を阻害するバフィロマイシンA1を用いて、ウイルス増殖が抑制されるかどうか検討したところ、ウイルス複製は抑制された。また、ウイルス溶液を酸性にするとウイルス構造蛋白であるVP2と VP5が除去されたが、バフィロマイシンA1を添加してもウイルス増殖は抑制されなかったことから、エンドソーム内の酸性化がウイルス複製に重要であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、予備的な研究により概ね期待した成果をあげられている。これらのデータに基づき、より詳細なメカニズムを解明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題については、2022年度は計画通り順調に推移しており、今後も本研究計画に基づいて検討を進めることとしている。すなわち、①ウイルス細胞侵入機構、②オートファジーについてより詳細に検討するとともに、③アポトーシス、④エンドソーム酸性化について予備試験とこれに基づくより詳細な検討を行う。また、⑤膜タンパク質解析と小胞体ストレスについて検討する。
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Causes of Carryover |
2022年度はほぼ予定どおりの研究成果が得られ、残金を年度にまたがる研究に使用しようとしたが、少額の残金では必要な消耗品が購入でなかった。そのため、次年度の消耗品費と合算して使用することとした。
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Research Products
(4 results)