2021 Fiscal Year Research-status Report
摂食・エネルギー代謝を制御する新規生理活性ペプチドの発見と応用
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21K05958
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
井田 隆徳 宮崎大学, フロンティア科学総合研究センター, 准教授 (00381088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 圭介 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20612386)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生理活性ペプチド / モデル生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
摂食行動やエネルギー代謝は、巧妙な生理機構により調節されている。その調節機構に生理活性ペプチドは特に重要な役割を担っている。しかし、多数の生理活性ペプチドが未同定であることや、高等生物の生体構造が複雑であることから、未だその全貌は判明していない。我々は、シンプルな生体構造をもつモデル生物で10種類の新規生理活性ペプチドを発見するとともにその機能を明らかにしてきた。本研究では① モデル生物であるショウジョウバエや線虫において、新規生理活性ペプチドの探索・同定を進める。また生理活性ペプチドはモデル生物との相同性が高い。そのため、② ホ乳類をはじめ様々な動物種での新規生理活性ペプチドの同定に結びつけ、摂食行動やエネルギー代謝における役割を明確にする。以上より、ヒトや家畜の摂食および成長の制御につながる新しい生理機構を解明する。本年度は、線虫において、哺乳類タキキニン に類似するオーファン受容体TKR-1に対して、新規生理活性ペプチドCeTK-1、CeTK-2、CeTK-3を発見し、報告した。またこれまでに発見した生理活性ペプチドで特に、ショウジョウバエdRYamideの蚊への応用研究を積極的に進めている。加えて、ニワトリ脳から、生理活性ペプチドの単離、同定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線虫オーファン受容体TKR-1に作用する線虫生理活性ペプチドについて、申請段階では詳細な構造が不明であったが、単離・同定、さらに遺伝子解析を行うことにより、線虫新規生理活性ペプチド、CeTK-1、CeTK-2、CeTK-3を発見、報告することができた。CeTKとその受容体であるTKR-1はその構造などから哺乳類サブスタンスPなどのタキキニン に類似する生理活性ペプチドと考えられた。また、哺乳類タキキニン 系ペプチドは弱いながらも線虫TKR-1に作用することも見出した。CeTKの発現部位を詳細に解析したところ、頭部にあるAIY、BAG、ASI、RISというかなり限局した神経細胞に発現していることがわかった。現在、それぞれの神経細胞の役割を参考にし、機能解析を行っているところである。その情報を元に、哺乳類への応用ができないか、検討していきたい。並行して、モデル生物の受容体を哺乳類細胞に発現させ、解析を行うことで、受容体になんらかの変化、刺激が加わると、活性、反応がよくなるという現象を見出した。その情報をもとに、現在、哺乳類のオーファン受容体に対し、様々な処置を施し、新規生理活性ペプチドの発見を目指している。ペプチド抽出材料としては、大量に入手可能なニワトリの脳を用いて研究を進めており、有望な活性も検出している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、モデル生物において、新規生理活性ペプチドの、オーファン受容体のdeorphanizeを目指していく。発見した生理活性ペプチド、それに対する受容体の情報をもとに、哺乳類への応用、また昆虫や寄生虫などへの応用研究も進めていく。さらに、細胞に発現させている受容体に対し、様々な条件や刺激を与えることにより、これまで認められなかった活性を検出することが可能となってきている。そのような方法を用い、我々がこれまで積み上げてきた生理活性ペプチドの抽出、精製、単離、同定技術を駆使し、脊椎動物、最終的には哺乳類において、新規生理活性ペプチドの発見につなげていきた。また、この技術を一人でも多くの若手研究者に継承してくべく、共同研究や学会発表などを積極的に行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定の消耗品が価格変動により購入できなくなり、予定より少しだけ余ってしまった。次年度しようとして予定していた消耗品を購入予定である。
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Research Products
(19 results)