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2021 Fiscal Year Research-status Report

初期胚のタンパク質分解におけるN末端則経路に関する研究

Research Project

Project/Area Number 21K05979
Research InstitutionKindai University

Principal Investigator

黒坂 哲  近畿大学, 先端技術総合研究所, 講師 (30625356)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 安齋 政幸  近畿大学, 先端技術総合研究所, 教授 (30454630)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
KeywordsN末端則経路 / タンパク質分解 / アルギニル化 / 初期胚 / 全能性
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、初期胚発生における母性タンパク質分解へのN末端則経路のかかわりを明らかにすることで、全能性獲得メカニズムの解明に迫ることである。 受精直後の胚は卵細胞質に蓄積された母性タンパク質を利用して発生を進めるが、それと同時に母性タンパク質を分解することも必要であり、これは全能性獲得の過程のひとつであると考えられている。N末端則とは、タンパク質の寿命がアミノ末端(N末端)残基に依存するという法則で、真核生物で広く保存されている。特にN末端残基がアルギニンであるペプチドは急速に分解されることが知られており、その反応はアルギニル化とよばれる翻訳後修飾により促進される。このメカニズムは、短時間に劇的な変化が必要な初期胚発生や全能性獲得の特性と合致すると思われ、N末端則経路と全能性獲得のかかわりを解明することは学術的に大きな意義をもつ。
本研究で実施することは、1) N末端則経路を介して分解される母性タンパク質の同定、2) アルギニル化が起こらない胚の解析、3) 加齢卵子の質の向上の試みの3点であり、2021年度はN末端則経路を介して分解されるタンパク質の候補として特にアルギニル化されるタンパク質の同定、生殖細胞特異的にアルギニル化が起こらないマウス(ATE1-CKOマウス)の生殖能力の検定を試みた。未受精卵および初期胚においてアルギニル化されることが予想されるタンパク質の検出に成功し、これらの中には未受精卵と初期胚で共通に検出された母性効果因子も含まれており、全能性獲得メカニズムへのアルギニル化の関与が示唆される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

プロテオーム解析により、未受精卵および初期胚においてアルギニル化されているタンパク質が検出され、そのうちのいくつかは初期胚の発声に必須な母性効果因子であることがわかっているので、これらをターゲットとした解析に進むことができる。また、ATE1-CKOマウスの維持が順調であるので、これを用いた解析も進めることができる。

Strategy for Future Research Activity

野生型マウス胚およびATE1-CKOマウス胚を用いた定量解析によってN末端則経路(特にアルギニル化)を介して分解されるタンパク質を同定するとともに、ATE1-CKOマウス胚の発生を観察することで、初期胚におけるN末端則経路(特にアルギニル化)の重要性を明らかにしていく。また、ATE1-CKOマウスにおいては、配偶子形成自体が異常となり、受精後の母性タンパク質の分解を正しく評価できない危険性があるので、RNAiやTrim-Away法によりATE1転写産物やタンパク質をそれぞれ枯渇させた卵子を用いた体外受精胚の解析もおこない、ATE1-CKO、Trim-Away、RNAiの3区を比較することで、アルギニル化を介した母性タンパク質分解の重要性をより正確に評価できるようにする。
さらには、これまでの報告から、加齢卵子においてATE1活性が低下し、母性タンパク質の分解が十分でなくなるために全能性獲得が不十分になる可能性が考えられるので、加齢マウス卵子におけるATE1の発現を調べ、それが低下している場合には、ATE1タンパク質を卵子中に導入することにより加齢マウス卵子の質の向上を試みる。

Causes of Carryover

次年度使用額の4580円が生じた理由は、その金額で購入可能かつ年度末までに必要な物品がなく、この金額を次年度に繰り越して使用することが研究のために有効かつ適切であると判断したためである。令和4年度は、当初の交付予定額にこの4580円を加えた額を適正に使用する。

URL: 

Published: 2022-12-28  

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