2021 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of microRNA-mediated regulation of pituitary cell differentiation
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21K05982
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
中村 和昭 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 薬剤治療研究部, 室長 (80392356)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 下垂体 / 発生 / 細胞分化 / iPS細胞 / 下垂体前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
下垂体細胞分化を調節するmiRNAを同定し、その機能を明らかにするとともに、得られた知見をiPS細胞由来下垂体細胞分化誘導系に応用し、再生医療にもつながる下垂体細胞分化機構をmiRNA機能の視点から明らかにすることを目的とする。近年見出されたmiRNAによる遺伝子発現調節機構は、miRNAという新しい因子を加えた新たな視点が、細胞・組織機能制御機構の理解のために不可欠であることを示している。下垂体においても、miRNAがその発生およびホルモン産生・分泌に関与しているとの報告が散見され、下垂体機能制御機構をmiRNAによる遺伝子発現制御の視点を加え再考する必要があると考えられる。本研究では、下垂体細胞系譜を、miRNAを介した細胞分化制御の視点から捉え、5種類の下垂体ホルモン産生細胞分化へのmiRNAの関与を検討するため、下垂体細胞分化を調節するmiRNAを同定し、その機能を明らかにするとともに、得られた知見をiPS細胞由来下垂体細胞分化誘導系に応用し、再生医療にもつながる下垂体細胞分化機構をmiRNA機能の視点から明らかにすることを目的とした。今年度は、下垂体細胞分化に関与するmiRNAを同定するため、マウスの発生過程における下垂体を採取し、下垂体発生過程におけるmiRNA発現をアレイ解析により網羅的に解析した。その結果、下垂体発生の初期・中期・後期においてそれぞれ発現が変動する複数のmiRNAの同定を行った。また、下垂体初代培養系により下垂体前駆細胞とされるCD9陽性細胞を単離し、ホルモン産生細胞への分化過程において発現が変動するmiRNAの解析を行っている。また、ゲノム編集技術によるmiRNAのプロセッシングを行うDGCR8を欠損させたiPS細胞の作製を進めており、今後下垂体細胞分化におけるmiRNAの作用点をより詳細に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度として、網羅的miRNA発現解析、初代培養による下垂体前駆細胞の分離・分化誘導、DGCR8欠損iPS細胞の作製を進めており、核心に迫る結果は得られていないものの、本研究のための基礎的データの収集、ツールの作製は順調に進んでおり、全体として概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、下垂体発生過程におけるmiRNAの発現変動の解析を行い、また初代培養系による下垂体前駆細胞からのホルモン産生細胞分化過程にけるmiRNAの発現解析を進めている。今年度は両者より得られたmiRNA発現変動結果を統合的に解析し、下垂体細胞分化に関与するmiRNAを同定する。さらに、下垂体前駆細胞あるいはiPS細胞からの下垂体ホルモン三sネイ細胞分化系を用いて、同定したmiRNAの機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
概ね計画通りの執行であったが、計画に計上した旅費について、コロナ禍の影響もあり、当初見込み額よりも執行額が下回った。次年度執行においても、当初計画に基づき適切に執行しつつ、今年度生じた次年度執行額については、物品費等により研究遂行のため適切に使用する。
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