2022 Fiscal Year Research-status Report
RNAスプライシングによる病気発症メカニズムの解明
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21K06049
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
尾林 栄治 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (50321740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (70293701)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | RNAスプライシング / 立体構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、MDSやがん患者に見られるスプライシングタンパク質のアミノ酸変異が、なぜスプライシング異常を引き起こし、病気の原因になりうるのかを明らかにすることを目的に実験を行っている。1つのアミノ酸変異の影響を知るためには、高分解能での立体構造解析が要求されるため、本研究では結晶構造解析を行う予定である。そのためには目的タンパク質の結晶を作成する必要があるために、タンパク質試料の大量調製および結晶化条件の探索を行ってきた。 目的タンパク質の1つであるZRSR2に関して、ZRSR2はSF3B1と相互作用することが明らかになったため(論文未発表)、ZRSR2とSF3B1の複合体での調製をおこなってきた。しかしこれまでのところ、構造解析可能な結晶は得られていない。同時に、病気患者に見られるZRSR2の変異体を作成したところ、RNA結合部位と考えられている部位の変異は、SF3B1への結合を失わせるとの結果を得た。このことから、ZRSR2とSF3B1の相互作用がスプライシングに重要であることが強く示唆された。また、機能未知の部位の変異は、SF3B1との結合に影響しなかったことから、機能未知部分も何かしらスプライシング異常を引き起こし、病気の原因になっていることが示唆された。そのため、機能未知部分を含めたZRSR2を試料として用いて結晶化を進めると共に、RNA結合能など、ZRSR2の機能解析も進めて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構造解析を行う予定のタンパク質、U2AF1およびZRSR2の結晶化を試み、まだ高分解能解析に十分な結晶は得られていない。しかし、タンパク質の結晶化および最適な条件検索には時間がかかることは予想されており、想定内である。すでにタンパク質の大量発現系および精製法の確立には成功しているので、今後も順調に研究を進めて行くことができると期待される。また、変異体の作製による機能解析も進んでおり、今後はRNA結合能などを行うことで、ZRSR2の機能を明らかににしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、U2AF1およびZRSR2の結晶構造解析を目指して、タンパク質の結晶化条件の検索を行なっていく。また、ZRSR2に関しては機能が不明な部分も多いので、得られた試料を用いて、配列の異なるRNA結合能を調べるなど機能解析を進めていく。 もう1つの目的であるアミノ酸変異特異的モノクローナル抗体の作成についても、積極的に進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)