2023 Fiscal Year Annual Research Report
RNAスプライシングによる病気発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K06049
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
尾林 栄治 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (50321740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (70293701)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | RNAスプライシング / 立体構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、骨髄異形成症候群やがん患者に見られるスプライシングタンパク質のアミノ酸変異が、なぜスプライシング異常を引き起こし、病気の原因になりうるのかを明らかにすることを目的に実験を行ってきた。1つのアミノ酸変異の影響を知るためには、高分解能での立体構造解析が要求される。そこで本研究では、X線結晶構造解析を行うことを目指した。X線結晶構造解析を行うためには目的タンパク質の結晶を作成する必要がある。そのためタンパク質試料の大量調製および結晶化条件の探索を行った。 目的タンパク質の1つであるZRSR2に関して、ZRSR2はSF3B1と相互作用することが明らかになったため(論文未発表)、ZRSR2とSF3B1の複合体での調製をおこなってきた。しかし、構造解析可能な結晶は得られなかった。そこで、病気患者に見られるZRSR2の変異体を作成したところ、RNA結合部位と考えられている部位の変異は、むしろSF3B1への結合を失わせるとの結果を得た。このことから、ZRSR2とSF3B1の相互作用がスプライシングに重要であることが強く示唆された。また、機能未知の部位の変異は、SF3B1との結合に影響しなかったことから、機能未知部分も何かしらスプライシング異常を引き起こし、病気の原因になっていることが示唆された。 もう一つの目的タンパク質であるU2AF1は、メチル化修飾を受け、そのメチル化修飾がスプライシングに影響を与えていることが最近報告された。そのため本研究において、メチル化修飾U2AF1を発現する系を構築し、その調製に成功した。調製した試料を用いて構造解析を目指した結晶化を行い、その結晶を得たが、研究期間中での構造解析には至らなかった。
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