2022 Fiscal Year Research-status Report
Can the identical gene allow adaptation to different environments? : Taking rheophytic and serpentine ecotypes as examples
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21K06324
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
福田 達哉 東京都市大学, 理工学部, 教授 (00432815)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環境適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物に対する機械的ストレスとして、これまでは河川沿いにおける水流ストレスに関する研究を行ってきたものの、新たに風ストレスに対する適応についてキク科のツワブキを用いて研究を行った。アメダスのデータを基に、野外にアメダス計測値付近に生育する平均風速の異なる4集団(千葉県勝浦市、神奈川県三浦市、神奈川県平塚市、神奈川県川崎市)を用いた。採集したサンプルを葉身と葉柄に分け、それぞれの形態学的、解剖学的および力学的解析を行った。その結果、力学的解析からツワブキは風ストレスの強弱に関わらず、葉柄の機械的特性は変化させていないことが明らかとなった。これに対して葉面積は平均風速と相関がみられ、平均風速の上昇に伴い葉面積が低下していることが示され、またその変化は細胞数の減少により導かれていることが明らかとなった。さらに葉柄は、太さに有意差は見られなかったものの、長さに有意差が見られ、最も風速の強い地域では葉柄が有意に短くなることが示された。これらの結果からツワブキは風ストレス上昇に対して葉面積の縮小化に伴う軽量化と葉柄の短縮化により葉柄のモーメントが低下し、その結果、葉柄の支持力強化に繋がったために、強風地域でも生育を可能にさせていることが明らかとなった。これらの結果は、これまでに環境適応に関する研究の中心が葉身であったものの、新たに葉柄も解析を行うことにより、葉全体を総合的に解釈することが出来ることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究実施期間中にコロナのための行動制限があり、そのために野外調査の期間が大幅に減少し、その期間に実施することが出来なかった調査を行動制限解除後に実施しているために、申請時の計画よりもやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは形態的特徴が明らかな葉身に関する研究を中心に行ってきたものの、今年度の研究結果から、形態的特徴は乏しくても、機械的ストレスに対して適応する形態を示すことが明らかとなった葉柄に関しても解析に加え、今後は、機械的ストレスのうち風と水流の間における差異を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度のコロナによる外出自粛要請のために出張回数が減少し、2022年度に繰り越されてきたために、2022年度は昨年度をカバーするための出張を心掛けたものの、まだ未調査地域が残っており、それが次年度使用額に反映した。そのために2023年度は、未調査地域を中心に調査を行うことを計画している。
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Research Products
(10 results)