2021 Fiscal Year Research-status Report
コウノトリ再導入個体群における繁殖個体への加入要因の生態学的検証
Project/Area Number |
21K06351
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
出口 智広 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 准教授 (60414091)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大迫 義人 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 教授 (40326294)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 再導入 / 密度効果 / コウノトリ |
Outline of Annual Research Achievements |
コウノトリ再導入個体群の繁殖個体への加入要因を検証するため、2005-2021年に野外に放たれた個体および野外で新たに巣立った個体の履歴データを整理し、繁殖の有無および野外での生存年数を応答変数、野外生活を始めた経緯(放鳥あるいは巣立ち)、その時の年、年齢、性別、世代、mtDNAに基づいた家系を説明変数とする一般化線形モデルを用いて解析した。 その結果、繁殖の有無は、年と家系が主要因として選ばれ、放鳥および巣立ちした年が現在に近づくほど、また、特定の家系だけが他と比べて、繁殖個体への加入が少ない傾向が認められた。 一方、生存年数については、年齢、性別、家系が主要因として選ばれ、4歳程度で野外生活を始めた個体の生存年数が最も長くなるが、その前後では短くなる傾向が認められた。性別と家系については、特定個体がともに持つ顕著な傾向だったため、両者は分離できなかったが、この家系と繁殖の有無を決める家系は異なっていた。 繁殖個体への加入割合が年々減っている理由として、密度効果と生息適地の不足が考えられた。成果の一部については学術雑誌Bird Conservation Internationalにおいて論文発表した(現在印刷中)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたデータの整理および解析が終わり、成果の一部は学術雑誌に論文が受理されたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
特定家系で認められた繁殖への負の効果については、ミトコンドリア活性との関わりが疑われるため、この家系について、過去の世代更新の詳細および今後の動向について、追加調査が必要と判断された。
|
Causes of Carryover |
コロナの影響により、現地調査が実施できなかったこと、および、学会開催がオンラインになったことで、旅費が使用できなかった。当該年度で使えなった残金は、論文発表のため、英文校閲費として次年度使用する予定。
|
Research Products
(2 results)