2022 Fiscal Year Research-status Report
コウノトリ再導入個体群における繁殖個体への加入要因の生態学的検証
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21K06351
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
出口 智広 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 准教授 (60414091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大迫 義人 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 教授 (40326294)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 再導入 / 分散 / 遺伝形質 |
Outline of Annual Research Achievements |
2005年に再導入が始まった国内のコウノトリは順調に個体数を増やしている。しかし、この増加は全個体の約3割による繁殖の産物であり、成熟個体(3歳以上)の半数近くは繁殖経験のない個体が占めている。そこで、本個体群における繁殖個体への加入要因を明らかにするため、野外での3年間の生存率(n=288)および3歳以上の個体の繁殖参加率(n=192)について、野外に出た年、その時の年齢、性別、野外での世代、ハプロタイプ、野外での生存年数(繁殖参加率のみ)を説明変数とする回帰からモデル選択を行なった。その結果、生存率については、世代が進むに連れて減少する効果が説明変数に選ばれた。一方、繁殖参加率については、生存年数が長くなるにしたがって増加する効果と、特定のハプロタイプのみ低下する効果の2つが説明変数に選ばれた。得られた結果について、世代進行と分散距離の関係とmother’s curseの可能性から、現在考察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたデータの収集および解析がほぼ終わり、その成果は2022年11月に開かれた日本鳥学会2022年度大会で口頭発表後、海外の学術雑誌に論文として投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究成果をまとめた投稿論文が受理掲載されるように努める。また、2023年の繁殖シーズンの調査結果を加え、解析した成果をもとに、2023年11月にオーストラリアで開かれる3rd International Conservation Translocation Conferenceで発表する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により、現地調査が実施できず、また国際学会開催が延期になったことで、予定していた旅費が使用できなかった。また、予定確保していた研究補助者が遠隔地への移動により補助を依頼できなくなった。当該年度で使えなった残金は、延期となった国際学会への参加渡航費と、投稿論文の英文校閲費およびオープンアクセス費として次年度使用する予定。
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