2023 Fiscal Year Annual Research Report
コウノトリ再導入個体群における繁殖個体への加入要因の生態学的検証
Project/Area Number |
21K06351
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
出口 智広 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 准教授 (60414091)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大迫 義人 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 教授 (40326294)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | コウノトリ / 再導入 / 生存率 / 繁殖率 / ミトコンドリア / 階層ベイズモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2005年から2022年に確認されたコウノトリの個体識別情報(計348羽)を性別と出自(飼育放鳥あるいは野外生まれ)でグループ分けし、各年の生存及び繁殖の有無について、年齢、野外での世代数、ミトコンドリアDNAの変異タイプ(ハプロタイプ)、繁殖経験を説明変数、各年の影響をランダム効果とした階層ベイズモデルを用いて解析した。 生存率については年齢(負の効果)とハプロタイプ(6番が負の効果)に明確な効果が認められたが、繁殖率については年齢(正の効果)以外に明確な効果を持つ説明変数はなった。以上の結果から、生存率の低い個体が持つハプロタイプ6番のミトコンドリアについては、何らかの遺伝的変異が生じている可能性が考えられる。 現在、コウノトリの野生復帰個体群は、生存率の低いハプロタイプ6番を有する個体が多数派(50%以上)を占めている。これは、野外に戻す個体が、これまで家系の多様性に基づいて選ばれており、ハプロタイプには注目してこなかったことが理由として挙げられる。 本研究の成果は、2023年9月に金沢大学で開かれた日本鳥学会2023年度大会、2023年11月にオーストラリア・フリーマントルで開かれたConservation translocationsの国際会議で発表した他、英国オックスフォード大学出版局の発行する国際学術誌『Ornithological Applications』の第126巻2号と、アメリカの鳥学会Association of Field Ornithologistsの発行する国際学術誌『Journal of Field Ornithology』の第95巻1号に掲載された。
|
Research Products
(8 results)