2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K06406
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宝田 美佳 金沢大学, 医学系, 助教 (40565412)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳虚血 / 血管 / MCAO / 梗塞巣 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞病態における血管機能の理解は、機能障害の軽減や回復を指向する上で極めて重要である。脳虚血後の血管新生は機能回復との関連が示唆されるがその制御メカニズムは未だ不明な点が多い。脳梗塞後には組織環境は刻々と変化するため、血管新生における多細胞間の相互作用や、局所だけでなく全体像での血管機能変化を捉えることが必要となる。本研究では、血管可視化マウスを用いて脳梗塞後の血管の時空間変化を捉え、時期・部位に特徴的な血管の機能を探索し、脳梗塞病態の改善につながる分子機構の解明を目指すものである。本年度は、血管新生に重要なシグナル分子の受容体を蛍光蛋白質レポーターにより可視化できるマウスを用いて組織学的解析を主として行った。正常脳において、レポーターの発現は血管内皮細胞に特異的であり、脳の全領域を広く網羅するものの血管内皮細胞の一部に発現が認められた。脳梗塞処置後には、虚血領域におけるレポーターシグナルの増強が認められた。また、レポーターだけでなく当該受容体の蛋白質発現も、虚血領域における増加が認められた。いずれも、虚血周辺部より虚血中心部において顕著な増加が認められた。虚血領域にはレポーター陽性の、正常血管と異なる形態の細胞が認められ、それらは虚血早期には観察されず虚血後期に出現した。また、このレポーター陽性細胞の亜集団が虚血後期に出現することは、虚血脳を分散して取得した細胞のフローサイトメトリー解析においても同様に検出された。これらの結果より、脳梗塞後の機能回復過程において、当該受容体が経時的な組織構造の変化に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、血管新生に重要なシグナル分子受容体を蛍光蛋白質レポーターにより可視化し、組織学的解析を主として行った。その結果、同シグナルが関与しうる時間的、空間的なポイントを同定することができた。また、その細胞集団を単離できる条件の設定を完了した。計画していた課題を順調に達成できているため、上記の評価とする。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、他の血管可視化手法による形態パターンとの比較、血管新生に関わる当該分子の条件付き遺伝子欠損マウスの機能解析、および当該分子発現細胞を単離後の遺伝子プロファイル解析を行う。これらのアプローチにより、脳虚血病態における血管リモデリング機構の重要性とその制御機構を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、学会の開催方式のWebへの変更による旅費の減少、討論機会の減少に伴う研究進捗の軽微な遅れなどが理由として挙げられる。次年度使用額は効率的な研究推進のための物品の購入や、研究発表機会の増加のための旅費として使用する計画である。
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Research Products
(7 results)