2021 Fiscal Year Research-status Report
ENGaseを利用したDual Warhead型ADCの開発
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21K06467
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Research Institution | The Noguchi Institute |
Principal Investigator |
後藤 浩太朗 公益財団法人野口研究所, 研究部, 研究員 (30321673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 晶 公益財団法人野口研究所, 研究部, 研究員 (00300880)
月村 亘 公益財団法人野口研究所, 研究部, 研究員 (90635830)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ADC / 二官能性 / オキサゾリン / ENGase |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、抗体1分子に異なる種類の薬剤分子を搭載した「Dual Warhead 型ADC」が従来のADCでは治療効果の薄いがん細胞に対しても高い殺傷効果を有することが報告されており、次世代型ADCとして期待されている。しかしこのDual Warhead 型ADCは概念としては提唱されているが、未だ十分な合成法が確立されていない。本研究では抗体分子が297番目のアスパラギン残基にN結合型糖鎖1対を持つ糖タンパク質であることに注目し、申請者らが開発した「糖加水分解酵素を用いたタンパク質の位置選択的PEG化法」を抗体分子へと応用することで、抗体中の糖分子を足がかりとしたこれまでにないDual Warhead型ADCの合成を目指すものである。 2021年度はまず、Dual Warhead型ADCの合成の際に重要な鍵となる分子内にアジド基とテトラジン基を有する二官能性二糖オキサゾリン誘導体の合成についての検討を行った。しかしながら、その際、最終工程のオキサゾリン化の際の塩基性条件によりテトラジン基が分解することが明らかとなった。この塩基性条件はオキサゾリン化の反応の際だけでなく、保存の際にも必要となる。そこでまず、テトラジン基の塩基性条件下での安定性について詳しく検討し、オキサゾリン化の際にテトラジン基が分解しない反応条件を模索した。種々検討した結果、反応の際に添加する塩基性の試薬として4-メチルアミノピリジン(DMAP)を用いることでテトラジン基を分解させることなく、目的のオキサゾリン化が進行し、収率よく目的物を得られることを明らかにした。現在、この知見をもとに本来の目的である分子内にアジド基とテトラジン基を有する二官能性オキサゾリンの合成についての検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々の目的とする「Dual Warhead 型ADC」の合成には薬物導入の際にテトラジンとtrans-シクロオクテンによる逆電子要請型Diels-Alder反応とアジドとアルキン間のHuisgen環化付加反応を連続的に行うDual click反応を行うことを計画している。また、これらのクリック反応用の官能基を抗体へ導入する手法としてはオキサゾリンを用いる酵素反応を行う必要があるが、本テーマの研究を開始後にオキサゾリン体合成やその後のオキサゾリンの保存条件下で必須となる塩基性条件下においてテトラジン基が分解することが明らかとなった。そこで反応条件や保存条件に使用する塩基の種類を種々検討した結果、テトラジン含有オキサゾリン体の合成することに成功したが、この問題の解決のために想定外の時間を取られた結果、進捗はやや遅れているのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果としてDual warhead型ADC合成の際に鍵となるテトラジン含有オキサゾリン体の合成することに成功した。そこで今後はこの知見をもとに実際Dual warhead型ADC合成に必要となる分子内にアジド基とテトラジン基を有する二官能性オキサゾリンの合成を行う。さらに合成した二官能性のオキサゾリン体と抗体をENgaseによる転移反応を用いて縮合させることによりに抗体内にアジド基とテトラジン基を有する二官能性の抗体を合成する。最後にこの二官能性の抗体に対してDual click反応行うことで1分子内に異なる薬物を導入したDual Warhead 型ADCの合成を達成する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、出勤日の減少および学会への出張が無かったため。
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