2021 Fiscal Year Research-status Report
ガングリオシドのアシル鎖構造を介した自然免疫制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K06530
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
狩野 裕考 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (40774279)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ガングリオシド / パイロトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、以下の研究成果を得ることができた。 (1) GM3分子種および各種スフィンゴ糖脂質によるパイロトーシス誘導制御機構の解析:骨髄由来マクロファージ・樹状細胞を用い、LPS誘導性のパイロトーシス(LDH放出、IL-1a放出)に対するGM3分子種および各種スフィンゴ糖脂質の作用を検討することで、糖鎖構造およびセラミドのアシル鎖構造に応じた構造活性相関を解析した。短いアシル鎖構造をもつ長鎖GM3分子種は、LPS誘導性のIL-1a放出を抑制し、反対に、より長いアシル鎖構造をもつ極長鎖GM3分子種は、LPS誘導性のIL-1a放出を増大させた。一方、GM3の生合成前駆体として異なる糖鎖構造をもつスフィンゴ糖脂質では、アシル鎖構造に依存したIL-1a放出制御作用を明確には確認できなかった。また、GM3分子種で見られたIL-1a放出の増大作用は、GM3の代謝産物としてN-アセチルガラクトサミンが付加したGM2では減弱し、ほとんど見られなかった。以上のことから、スフィンゴ糖脂質によるパイロトーシス誘導制御機構は、その糖鎖構造およびセラミドのアシル鎖構造の双方によって制御されていることがわかった。 (2) 阻害剤、KO細胞によるパイロトーシス誘導経路の解析:各種阻害剤、KO細胞を用いて、GM3分子種によるパイロトーシス誘導経路を解析した。Caspase-1/4/11阻害剤、マウスGasdermin D阻害剤であるNecrosulfonamideによって、極長鎖GM3によるIL-1a放出の増大が抑制され、極長鎖GM3によるTNF-a産生の増大は抑制されないことが確認できた。加えて、Caspase-11-KO細胞、Gasdermin D-KO細胞においても、極長鎖GM3によるIL-1a放出の増大が抑制された。以上のことから、非古典的経路に対するGM3分子種の関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス自然免疫系細胞を用いて、GM3ガングリオシドを介した制御を受ける炎症性細胞死経路とその仲介因子を、阻害剤および遺伝子ノックアウトによって明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ヒト単球系細胞や、マウス個体において、GM3分子種によるパイロトーシス誘導経路を解析する。
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Causes of Carryover |
所属研究室で保有する実験材料や細胞株等を有効に活用することで、当研究課題をより効率よく実施して、成果を得ることができた。次年度使用額は、次年度以降に予定しているマウス個体を用いた実験など、より多くの支出が見込まれる実験に供することが可能と考えられる。
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Research Products
(3 results)