2022 Fiscal Year Research-status Report
ガングリオシドのアシル鎖構造を介した自然免疫制御メカニズムの解明
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21K06530
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
狩野 裕考 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (40774279)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ガングリオシド / スフィンゴ糖脂質 / パイロトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、以下の研究成果を得ることができた。 (1) 組み換え全長Casp4/11発現系の構築:これまでに、マクロファージ細胞に対するLPSおよび各種脂肪酸構造のガングリオシドGM3の共刺激によって、炎症性サイトカインIL-1aの産生量が大幅に増大または抑制されることを見出している。IL-1aは非古典的インフラマソームを介したパイロトーシスによって放出されることから、その構成因子であるCasp4/11(細胞内LPS受容体)が、各種脂肪酸構造のGM3分子種によって直接的に活性化制御を受ける可能性が考えられる。そこで、大腸菌発現系を用い、Casp4/11のHis-tag融合タンパク質発現系を構築した。リガンド認識後の自己切断活性を低減したCasp4(C258A)およびCasp11(C254A)変異体として発現させることで、リガンド結合によって誘導される多量体形成を観察可能なコンストラクトとした。宿主は、LPS合成経路欠損型の大腸菌発現系を用いることで、発現宿主内における意図しない多量体形成および活性化を低減できるよう考慮した。 (2) 組み換え全長Casp4/11精製系および多量体アッセイ系の確立: LPS合成経路欠損型の大腸菌発現系であっても、LPS生合成中間体であるLipid-IVaは産生されることから、Affinity精製中に既報に基づいた界面活性剤による内因性代謝物洗浄ステップと、さらに界面活性剤自体の除去ステップを組み込むことで、より高純度の精製を可能にした。Affinity精製およびゲル濾過担体によるバッファー交換後のCaspase-4/11はSDS-PAGEにおいてほぼ単一バンドであり、ケミカルクロスリンクによる多量体検出アッセイにおいも単量体として得られていることが確認できた。これを用いることで、各種のスフィンゴ糖脂質分子種による多量体形成アッセイを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題における組み換えタンパク質発現系は、可能であれば哺乳類細胞発現系または昆虫細胞発現系が望ましいが、種々の工夫によって大腸菌発現系で早期に達成できたことは、時間、費用、扱いの容易さにおいて大変有益と思われる。変異体タンパク質を用いた機能解析も容易となるため、今後の展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
組み換えタンパク質を用いた、各種のガングリオシド・スフィンゴ糖脂質分子種との相互作用解析や、多量体形成アッセイを進めることで、Casp4/11の活性化メカニズムと、脂肪酸および糖鎖構造に応じた構造特異性を明らかにする。得られた結果について、再度、ヒト細胞株やマウス個体での検証を試みる。
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Causes of Carryover |
所属研究室で保有する実験材料等を有効に活用することで、当研究課題をより効率よく実施して、成果を得ることができた。次年度使用額は、次年度以降に予定しているヒト細胞株やマウス個体を用いた実験など、より多くの支出が見込まれる実験に供することが可能である。
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Research Products
(6 results)