2021 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレスの視点から見たメンタルストレスバイオマーカーの探索
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21K06660
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
李 云善 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 准教授 (90449950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 祐也 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教 (30721716)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 精神的ストレス / 酸化ストレス / 昼夜転換 / 無響環境 / 8-hydroxydeoxyguanosine |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレス状態や精神疾患の程度を定量的に指標化して評価できるバイオマーカーはまだ確立されていない。酸化ストレスは、精神的ストレスを はじめとする様々な疾患により上昇すると報告されているが、それらの関連性についてはまだ議論の余地がある。 本研究では実験動物のストレスモデルを作成し、1)精神的ストレス状態による酸化ストレスマーカーの変化を調べ、酸化ストレスの視点から 精神的疾患の発症及び進展を評価可能なバイオマーカーの確立を目指す。さらに、2)酸化ストレスと精神的ストレスの関連性を明らかにし、 抗酸化物質の精神疾患の予防・治療への応用に向けて科学的根拠を探るのを目的とした。令和3年度は、マウスを用いて、昼夜逆転或いは無響環境による精神的ストレス、酸化ストレス及び免疫に及ぼす影響について評価した。その結果、マウスは昼夜逆転による不安様な行動が見られ、体重も有意に増加した。酸化ストレスのバーオマーカである8-OHdGと8-isoprostaneは有意な増加が認められた。血清中のIL-6レベルの増加も見られた。無響環境で飼育したマウスでは一時的に不安様行動しか見られなかった。以上の結果は、昼夜逆転の生活には精神的ストレスを引き起こし、生体内の酸化ストレスと免疫にも影響することが認められた。これらの結果から、昼夜逆転のマウスは精神的ストレスを付加モデルとして有用であること示した。無響環境の飼育モデルでは、飼育時間を延長してさらに検討する必要があると考えられる。今年度は今後の抗酸化物質の精神疾患の予防・治療への応用についての研究を進行するために重要な情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では抗酸化物質が精神ストレスの低減に応用できる可能性を考えて、その効果やメカニズムについても検討することを目的としているが、令和3年度は、昼夜逆転と無響環境により実験動物にストレスを付加し、生体内のストレス、酸化ストレス及び免疫を評価する指標を測定し、昼夜逆転による生体への健康影響を評価した。今後、抗酸化物質をマウスに投与し、生体内の酸化ストレスが精神的ストレスに及ぼす影響について検討したい。以上については研究の目的をおおむね達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、昼夜逆転と無響環境により実験動物にストレスを付加することで精神的ストレス、酸化ストレス、免疫への影響を確認している。これらの結果に基にして、抗酸化物質をマウスに投与して、抗酸化物質の酸化ストレス改善によるストレスや免疫改善効果について評価を行う。本研究で得た結果から、抗酸化物質の精神ストレス関連疾患への改善効果を評価したい。
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