2023 Fiscal Year Annual Research Report
肝排出輸送体による活性代謝物輸送解析と機械学習メタボロミクスによる生体内基質探索
Project/Area Number |
21K06688
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
増尾 友佑 金沢大学, 薬学系, 准教授 (90708140)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝膜輸送体 / 薬物動態予測 / アデノ随伴ウイルス / メタボロミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
Multidrug resistance-associated protein 3 (MRP3/ABCC3)は肝、小腸、尿細管上皮細胞の血液側細胞膜に発現する排出膜輸送体であり、グルクロン酸抱合体や胆汁酸を基質とする。肝に発現するMRP3は肝で代謝活性化された薬物の体内動態に影響を与えうるが、肝MRP3が薬物動態に及ぼす役割はほとんど解明されていない。Adeno-associated virus (AAV)が導入遺伝子を組織選択的かつ持続的に発現できる特徴を活用し、AAVで肝選択的にshRNAを導入して肝Mrp3をノックダウンすることで、肝からの基質排出におけるMrp3の役割を評価することを目的とした。マウスMrp3に対するshRNAを組み込んだAAV-shMrp3と対照としてAAV-shLacZを作製し、各AAVをマウスに静脈内投与3週間後に実験に供した。AAV-shMrp3投与群におけるMrp3のmRNA発現はAAV-shLacZ投与群と比較して、肝で約20%、腎で約70%に低下した一方、小腸・脳ではほぼ変化しなかった。Acetaminophen (APAP)を定速静注後の定常状態における体内動態を比較した。AAV-shMrp3投与群におけるAPAP、グルクロン酸抱合体(APAP-glucuronide)の血漿中濃度は、AAV-shLacZ投与群と同等であった。肝臓中APAP-glucuronide濃度は、AAV-shMrp3投与群でAAV-shLacZ投与群の約4倍に増加した一方、肝臓中APAP濃度は同程度であった。AAVを用いた肝Mrp3ノックダウンで、APAP-glucuronideの肝から血液への排出低下が確認でき、本実験系は肝Mrp3評価系としての有用性が示唆された。
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