2022 Fiscal Year Research-status Report
Invovlvement of increased vascular permeability in bortezomib-induced lung toxicity
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21K06703
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
松本 太一 福岡大学, 薬学部, 講師 (80570803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 純一 福岡大学, 薬学部, 助教 (10550064)
寺田 一樹 姫路獨協大学, 薬学部, 准教授 (00724197)
青木 光希子 福岡大学, 医学部, 講師 (80469379)
自見 至郎 福岡大学, 公私立大学の部局等, 研究特任教授 (30226360) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 薬剤性肺障害 / ボルテゾミブ / 血管透過性 / 接着因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
[1]ボルテゾミブ(BTZ)が肺の形態に及ぼす影響 前年度、BTZの投与(600 mg/kg, 週3回×4週間、皮下投与)はマウスの肺胞径の拡張を引き起こすことを明らかにした。本年度は、BTZ投与開始から経時的に(1, 2, 4週目)肺胞径を観察した。BTZ投与1週目では、肺胞組織の肥厚を伴う肺胞径の収縮が認められた。BTZ投与2週目においては、BTZ投与群とvehicle群の間に肺胞径の違いはなかった。BTZ投与4週目では、前年度に観察したように、肺胞組織が薄くなり、肺胞径の拡張が認められた。このことは、BTZ投与初期には肺胞に炎症が生じ、間質性肺炎のような病態を呈し、BTZ投与から時間が経過すると、BTZによる肺胞組織への細胞毒性が惹起され、肺気腫のような肺障害を呈することを示唆している。 [2]HPMECが形成するバリア機能に対するBTZの作用 前年度、ヒト肺微小血管内皮細胞(HPMEC)を用いた肺血管内皮モデルを用いて、BTZは細胞障害性を示さない濃度で、肺血管の透過性を亢進することを見出した。そこで本年度はその機序を検討した。血管内皮細胞の細胞間接着には密着結合を形成するOccludinやClaudin-5、ZO-1、接着結合を形成するVE-cadherin、β-cateninが関与している。これらの細胞接着因子の発現に対するBTZの作用を検討した。その結果、BTZはOccludin、Claudin-5ならびにVE-cadherinの発現を抑制していた。また、これらの接着因子のmRNA発現もBTZにより減少していたことから、接着因子発現抑制作用は遺伝子発現制御によるものであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、BTZによる肺障害の発症機序はIL-6やTNF-、IFN-などの炎症性サイトカインの血中濃度が上昇や、肺胞上皮の傷害などが提唱されているが、その因果関係は不明である。本年度、本研究チームでは、BTZは(1)肺の形態に対して経時的に異なる変化ともたらすこと、(2)細胞間接着の発現を抑制することを観察した。このことは、BTZによる血管透過性亢進が起点とならり、血漿タンパク質や炎症細胞の肺胞組織への漏出・浸潤を引き起こし、BTZ投与初期は間質性肺炎様病変を、その後BTZの細胞障害性が肺気腫様病変を引き起こすことを想像させ、これまでには報告されていない、連続的なBTZ肺障害発症機序の輪郭が見え始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ここ2年の研究から、本研究の重要なポイントは「BTZがいかにして細胞間接着因子の発現を抑制するのか」という点である。BTZは接着因子のmRNA発現を抑制していることから、BTZが引き起こすシグナル伝達経路への影響が関与するものと思われる。BTZはIkBの分解抑制を介してNF-kBの転写活性を抑制する働きがある。in silico解析により今回着目したOccludin、Claudin-5、ZO-1、VE-cadherinならびにβ-cateninのいずれの遺伝子の5’-flanking regionにはNF-kB結合領域があることを確認している。そのため、NF-kB抑制作用が接着因子発現抑制に寄与している可能性がある。一方で、BTZは酸化ストレスを介したp38 MAPKの活性化作用が報告されており、その作用が接着因子発現抑制に関連している可能性もある。令和5年度はBTZが細胞間接着因子の発現を抑制するメカニズムの解明を中心に研究に取り組みたい。
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Causes of Carryover |
本年度、BTZがマウスの肺の形態に与える影響を明らかにするために、年度開始当初は100匹以上のマウスを使用するつもりであったが、予想していたよりも早く、BTZの肺形態に対する経時的な変化を捉えることができたため、購入するマウスが少なく済んだ。また、細胞間接着因子の発現に対するBTZの作用についても、着目すべき分子が予想よりも早く絞ることができ、研究試薬の購入費を節約することができた。生じた繰越金は、次年度に実施予定の「BTZが細胞間接着因子の発現を抑制するメカニズムの解明」研究に充てる。
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[Journal Article] Trophic and immunomodulatory effects of adipose tissue derived stem cells in a preclinical murine model of endometriosis.2022
Author(s)
Hirakawa T, Yotsumoto F, Shirasu N, Kiyoshima C, Urushiyama D, Yoshikawa K, Miyata K, Kurakazu M, Koga KA, Aoki M, Nabeshima K, Koga KS, Osuga Y, Komatsu H, Taniguchi F, Harada T, Yasunaga S, Miyamoto S.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 12
Pages: 8031
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Delivery of the reduced form of vitamin K2(20) to NIH/3T3 cells partially protects against rotenone induced cell death.2022
Author(s)
Toki E, Goto S, Setoguchi S, Terada K, Watase D, Yamakawa H, Yamada A, Koga M, Kubota K, Iwasaki K, Karube Y, Matsunaga K, Takata J.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 18
Pages: 19878
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] 進行リスクの高い異常形質細胞を特徴づける細胞表面バイオマーカーの探索2022
Author(s)
Taichi Matsumoto, Nobukazu Watanabe, Shotaro Chinen, Ilseung Choi, Kentaro Kouno, Tsuyoshi Muta, Tomoko Narita, Takuto Tachita, Hidenori Sasaki, Shinichiro Yasunaga, Shinsuke Iida, Yasushi Takamatsu
Organizer
第47回日本骨髄腫学会
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