2022 Fiscal Year Research-status Report
黄体の機能制御に重要な糖鎖の探索~alpha2,6シアル酸修飾に注目して
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21K06727
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小林 純子 (仁尾純子) 長崎大学, 高度感染症研究センター, 准教授 (70447043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 正尊 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (70281821)
比能 洋 北海道大学, 先端生命科学研究院, 教授 (70333333)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シアル酸 / ガレクチン / 黄体 / プロゲステロン / hCG |
Outline of Annual Research Achievements |
黄体は妊娠の成立と維持に必須なプロゲステロンを産生する内分泌組織で、排卵後の卵胞壁細胞より形成される。妊娠が成立しない場合、ヒトでは、黄体は1週間ほど機能したのち、自発的に退行する。一方、妊娠が成立すると、胎盤より産生されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の作用により、黄体は退行を免れ、妊娠黄体となって妊娠初期の数か月間機能を維持する。マウスやウシなどの動物では、子宮由来の因子が黄体の退行を誘導するが、ヒトでは子宮由来の因子は卵巣周期に影響を与えない。ヒトでは、黄体内で産生される因子が自発的な黄体退行を誘導すると考えられるがそのメカニズムは不明な点が多く残されている。 我々は、ヒトやウシの黄体では、beta-galactosideを認識するガレクチンのうち、galectin-1が機能黄体に、galectin-3が退行黄体に発現しており、ガレクチンと糖鎖との相互作用が黄体の機能制御に重要な役割を果たすことを報告してきた。ガレクチンと糖鎖との結合を阻害するalpha2,6シアル酸修飾は退行黄体で増加することから、ヒト黄体の機能制御に重要な役割を果たすと考えられるが、alpha2,6シアル酸修飾された糖鎖をもつタンパク質やその機能の詳細は明らかでない。 本研究では、ヒト、ウシ、マウスの黄体細胞において、退行時にalpha2,6シアル酸修飾された糖鎖をもつタンパク質やその機能を明らかにするとともに、質量分析イメージング装置を用いた切片上で糖鎖を検出できる技術の確立を目指し、黄体の機能制御に重要な糖鎖を探索することを目的とする。 今年度は、マウス黄体組織を用いた糖転移酵素の発現解析および糖鎖構造解析と株化培養細胞を用いた黄体細胞モデルの作製を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属機関の異動に伴い、初代黄体細胞の培養および使用予定であったSVOG細胞の入手が困難となってしまったため、HEK293細胞などの株化細胞を用いて黄体細胞のモデルとなる細胞の構築からとりかかった。ヒトのLHCGR発現のためのプラスミドの構築は終了し、HEK293細胞でのトランスフェクションを確認した。今後、より黄体に近いモデル細胞を用いて解析を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
HEK293細胞を用いてLHCGRの発現導入法は確立できたので、今後はKGN細胞など、より黄体細胞に近いモデル細胞の構築を試みる。株化細胞を用いることで解析はよりスムーズに進行できると考える。また、ウシ黄体組織を用いた糖鎖構造解析を実施することで、マウス・ラットなどのげっ歯類よりもよりヒトに近い動物でのalpha2,6シアル酸の役割を明らかにし、ヒト組織を用いた解析へとつなげていきたい。また、分担者である比能らが開発した糖鎖によるタンパク質の翻訳後修飾の構造決定を迅速化する新しいMALDI-TOFMS解析技術を質量分析イメージング解析に応用し、切片上での効率的な糖鎖の可視化を試みる。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属機関の異動に伴い、実施できなかった解析があったため次年度への繰り越し額が生じた。繰り越しした経費は、樹立したヒトLHCGR発現細胞を用いて、alpha2,6シアル酸を含有する糖タンパク質を同定するための解析に使用する。
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Research Products
(20 results)