2022 Fiscal Year Research-status Report
Double negative regulation of ERK activity by dual-specificity phosphatases and its role in melanomagenesis
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21K06892
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
安平 進士 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 講師 (90311729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前沢 千早 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 教授 (10326647)
天野 博雄 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70302487)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | MAPK経路 / 悪性黒色腫 / 二重特異性フォスファターゼ / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの悪性黒色腫細胞で見られるDUSP4の高発現の意義とDUSP4依存的な細胞増殖の機構を明らかにすることが本研究計画の目的である。計画初年度の研究により、悪性黒色腫細胞株においてDUSP4-DUSP6-ERKという直列のERKリン酸化制御経路の存在を示すことができた。本年度は、この機構の詳細な分子機構、特にDUSP4発現抑制時にDUSP6の発現が上昇する機構について明らかにすることを試みた。この現象ではDUSP6のmRNA量には変化が見られず、外来性のプロモーターをつないだDUSP6トランスジーン由来のタンパク質でも量の増加が観察されることから、翻訳あるいは翻訳後のレベルで制御が行われていると考えられる。また、細胞をプロテアソーム阻害剤で処理すると、DUSP6量が大きく上昇するので、DUSP6が比較的短い寿命を持ち恒常的なタンパク質分解を受けていることは確実である。翻訳後修飾に関するヒトプロテオームのデータベースを検索したところ、ヒトDUSP6には36番目、254番目、324番目の3つのリジン残基におけるユビキチン化が報告されていることがわかった。これらのポリユビキチン化がタンパク質分解速度を制御している可能性を検討するために、3つ全てのリジンコドンがアルギニンコドンに変化した変異遺伝子を作成して遺伝子導入を行い、DUSP4発現抑制時における変異DUSP6量の変化を野生型DUSP6と比較した。予想に反して、これらの変異はDUSP6量の変化に影響を与えなかった。したがって、ポリユビキチン化の制御がDUSP4発現抑制時のDUSP6量を規定しているのではないと考えられる。今後、初年度に明確な結論が出せなかったDUSP6の翻訳rateが制御を受けている可能性について再び検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の目標としていたDUSP6の制御の分子機構の解明について、作業仮説を否定するような結果しか得られなかった。このため、計画に挙げていたMITF制御におけるDUSPs-ERK経路の役割の研究についてもとりかかることができず、計画遂行はやや遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
DUSP6の翻訳rate制御の可能性について、より詳細に検討する。余裕があれば、MITF制御におけるDUSPs-ERKの役割についても調べる。また、当初の計画には含まれていないが、ゼブラフィッシュ個体を用いた実験によりDUSP4の悪性黒色腫発生への関与について示せないか検討する。
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Causes of Carryover |
流通不足等の問題で消耗品の購入にやや制限があったことが大きな理由である。計画自体に本質的な変更はなく、消耗品(試薬等)に使用する予定である
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