2023 Fiscal Year Research-status Report
芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍:多様性から稀少腫瘍の病態を紐解く
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21K06936
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
坂本 佳奈 公益財団法人がん研究会, がん研究所 分子標的病理プロジェクト, 研究員 (50778008)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究中断していたため、基本的に新たな実績は得られていない。しかし、中断前に得られていた成果を論文化し投稿していたものが、今年度雑誌掲載された。芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)の免疫染色を用いた新たな診断法について報告したものである。 BPDCNは、形質細胞様樹状細胞の前駆細胞を正常対応細胞とする稀な造血器悪性腫瘍である。これまで、BPDCNの診断基準は完全には確立されてこなかった。そのため不十分な根拠に基づいて診断が行われている現状がある。今回、既存の代表的な4つの診断基準を、BPDCNとその類似疾患よりなる我々のコホート(284例)に適用して診断結果をシミュレートした。その結果判明した診断における問題点を考慮し、それを克服するため、TCF4、CD123、TCL1、lysozymeの4マーカーからなるBPDCNの新しい診断基準を考案し、提唱した。また、BPDCNでは見られない細胞像や浸潤パターンで、鑑別診断である急性骨髄性白血病や骨髄肉腫を示唆する組織像、細胞像についても明らかにした。さらに、BPDCNを正しく診断することの臨床的意義として、CD123陽性の急性骨髄性白血病・骨髄肉腫患者はBPDCN患者よりも有意に予後が悪いこと、古典的なBPDCNのマーカーであるCD4、CD56、CD123がすべて陽性であっても、12%の症例はBPDCNでないことを明らかにした。すなわち、CD4、CD56、CD123以外の特異的なマーカーなしにBPDCNと診断することの危険性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は研究中断していたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度途中より研究再開予定である。中断前に進めていた各種解析を再開し、引き続き計画に沿って遂行していく。
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Causes of Carryover |
今年度は研究中断していたため、次年度使用額が生じた。来年度途中から研究再開し、当初の計画に沿って研究を実施していく。
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