2021 Fiscal Year Research-status Report
Roles of endothelial-mesenchymal transition (EndoMT)-suppressing transcription factors in the inhibition of cancer progression
Project/Area Number |
21K07094
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉松 康裕 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60586684)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 内皮間葉移行 / 内皮細胞 / Etsファミリー転写因子 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、血管やリンパ管の内腔を構成する内皮細胞の性質変化として「内皮間葉移行」という現象に着目し、この現象が引き起こされる過程で産生される因子が、がんの悪性化過程に寄与しているかについて検証を行うこと、さらにこの産生因子の発現を調節している転写因子を同定し、その役割を明らかにすることを目的としている。これまでに、内皮細胞の分化転換を抑制する転写因子(すなわち、内皮細胞の性質維持に必須の転写因子)の候補として、Etsファミリー転写因子を同定しているため、本年度はこの転写因子ががんの悪性化過程に寄与しうる因子の発現調節を行っているかについて、検討を行った。 このEtsファミリー転写因子は炎症に関連するサイトカインの発現を負に調節していることを見出した。この結果から、内皮細胞が内皮間葉移行を引き起こすと、このサイトカインが内皮細胞から分泌されることで、がん細胞に作用しがんの悪性化を亢進する可能性が考えられた。また、この転写因子は内皮間葉移行を抑制する機能があり、内皮間葉移行で観察される細胞の運動性の亢進を抑制すると考えられたため、siRNAなどによってその機能を抑制したところ、細胞の運動性が亢進した。このことから、細胞の性質や機能という点からもこの転写因子が内皮間葉移行を抑制する役割を持つことが示唆された。 この転写因子の生体における役割を検討するために、内皮細胞特異的な欠損マウスの作出を試みたところ、安定的に行うことに成功した。現在、胎生期および出生後初期の内皮細胞における役割について解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、内皮細胞の性質維持に関与する転写因子として、Etsファミリー転写因子に着目して内皮細胞特異的にこれを欠損させるマウスを解析している。これについては、明らかな表現型を見出していないが、安定的に作出することに成功している。 細胞レベルの解析では、概要に述べたようにEtsファミリー転写因子の役割について、いくつかのことを明らかにしており進展が見られた。以上のことから、研究全体はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
Etsファミリー転写因子を内皮細胞特異的に欠損させるマウスを、TEK-Creを用いたシステムにより安定的に作出することができており、現在胎生期および出生初期の解析を行っているが、今後は成体における役割を検討する。具体的には、病態モデルとしてがん細胞の移植を行って、がんの進展における内皮間葉移行の役割、およびEtsファミリー転写因子の役割について検討を進める予定である。また、内皮間葉移行が起きた細胞では以前に内皮細胞であったことが不明になってしまうため、内皮細胞であった履歴をトレースできる細胞ラベリングシステムを導入してマウスの作出を行う。細胞レベルでは、Etsファミリー転写因子をノックダウンしたサンプルを用いてRNA-sequenceを行い、制御しているシグナル経路や標的遺伝子を絞り込んでおく。マウスを用いた解析で特定の役割が解明されれば、その点に着目しながらRNA-sequenceの解析結果を利用して、内皮間葉移行における分子メカニズムについて解析を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
一部の実験で工夫したところ、予想より実験量が少なくて済んだ項目があった。また、一部は計画通り進まない部分があった。以上の点から、次年度使用額が生じたが、実験計画が順調に進めば次年度に使用が見込まれる。
|
Research Products
(10 results)
-
-
[Journal Article] Isolation and characterisation of lymphatic endothelial cells from lung tissues affected by lymphangioleiomyomatosis2021
Author(s)
Koichi Nishino, Yasuhiro Yoshimatsu, Tomoki Muramatsu, Yasuhito Sekimoto, Keiko Mitani, Etsuko Kobayashi, Shouichi Okamoto, Hiroki Ebana, Yoshinori Okada, Masatoshi Kurihara, Kenji Suzuki, Johji Inazawa, Kazuhisa Takahashi, Tetsuro Watabe, Kuniaki Seyama
-
Journal Title
Scientific reports
Volume: 11
Pages: 8406-8406
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
[Presentation] Activation of epithelial-mesenchymal transition program in oral cancer cells under TGF-β-induced cell cycle arrest2021
Author(s)
Katarzyna A. Inoue, Kazuki Takahashi, Sakakitani Shintaro, Daizo Koinuma, Akinari Sugauchi, Maki Saito, Atsushi Kaida, Yasuhiro Yoshimatsu, Toshihiro Uchihashi, Masahiko Miura, Kohei Miyazono, Tetsuro Watabe.
Organizer
TGF-β Superfamily Conference: Signaling in Development and Disease (FASEB)
Int'l Joint Research
-
[Presentation] Role of an ETS family transcription factor in endothelial-mesenchymal transition (EndoMT)-driven EMT2021
Author(s)
Yasuhiro Yoshimatsu, Kentaro Maeda, Naoya Takahashi, Ikumi Wakabayashi, Shiori Kimuro, Kazuki Takahashi, Miho Kobayashi, Katarzyna A. Podyma-Inoue, Masanori Hirashima, Kohei Miyazono, Tetsuro Watabe
Organizer
The 80th Annual Meeting of the Japanese Cancer Association
-
[Presentation] Oral cancer cells under TGF-β-induced cell cycle arrest exhibit motile phenotypes through induction of epithelial-mesenchymal transition (EMT)2021
Author(s)
Kazuki Takahashi, Katarzyna A. Inoue, Sakakitani Shintaro, Toru Konisi, Akinari Sugauchi, Maki Saito, Atsushi Kaida, Daizo Koinuma, Yasuhiro Yoshimatsu, Toshihiro Uchihashi, Mikihiko Kogo, Masahiko Miura, Kohei Miyazono, Tetsuro Watabe
Organizer
The 80th Annual Meeting of the Japanese Cancer Association
-
-
-