2021 Fiscal Year Research-status Report
Pilot study for identification of familial lung cancer susceptible genes
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21K07111
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
安田 純 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 部長 (00281684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 信 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 研究員 (10724619)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺がん / 遺伝性腫瘍 / エキソーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんは遺伝性素因と環境因子の組み合わせで発症するが、肺癌においては喫煙などの環境因子の影響が大きいとされている。しかしながら、肺がんにおいても近親発症の報告はあり、その一方で原因遺伝子の同定は行われていない。当院呼吸器外科において、親子、ないしはきょうだいで肺癌を発症している例のうち、検体が利用可能な症例が19組40人存在することが判明した。家族性の肺癌の素因遺伝子の単離はこれまで報告がなく、臨床的にも非常に重要である。宮城県県南から福島県の一部を医療圏とする当院において、多数の近親での肺癌の蓄積があることは、いわゆる創始者変異によるものである可能性もある。本研究によって、肺癌の発症確率を上昇させるような遺伝子変異など、臨床に資する多数の遺伝子変異が検出されることが期待される。現時点で40人のがん部、非がん部のエキソーム解析を実施した。今後、生命情報科学的解析で候補を絞り込む予定である。候補遺伝子について、肺がん発症の集積の有無を東北大学東北メディカル・メガバンク機構の前向けゲノムコホートのデータ分析を加え、最終的に肺がんのがん抑制遺伝子の同定を目指す予定である。今回は現状の解析状況をまとめ、EGFRやKRASなど、過去の臨床検査データとの比較と、deconstructSigsなどの情報解析ツールを利用した、いわゆるmutational signature解析に主成分分析を加え、血縁のある患者間の類似を検討できる情報基盤の整備を実施したところである
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
エキソーム解析データの取得は終了しすでに変異コールなども実施済である。EGFRやKRASの変異については比較的よく一致していた。いわゆるmutational signature解析についても検討を始めたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在生殖細胞系列の変異についてAnnovarなどによるアノテーションや血縁者間での共有などの検討を進めている。さらに肺癌体細胞系列変異についても同様の比較を実施する。特に、きょうだい間で変異が共有されているドライバー変異の探索、同定を通じて血縁者間に共通の活性化経路の可能性を追求する。さらにこれらの情報に基づいての様々な生命情報科学的解析を進める予定である。特に環境因子や遺伝学的因子の共通性について体細胞変異並びに生殖細胞系列変異をそれぞれ検討する。次世代シークエンサー解析で同定された一部の変異については別途ドロップレットデジタルPCRなどによる検証も実施する。その際に、必要に応じてプローブの設計なども検討する。さらに、コピー数異常の可能性の検討を生命情報科学的な手法で同定し、その検証を定量的PCRやTaqManプローブによるコピー数推定などで検証する。また、最近わが国で確立した基準ゲノム配列(最新バージョンはJG2.1)を用いた変異コールのやり直しとその品質の評価を実施する。その際にはいわゆるLiftOver解析をすることで国際標準ゲノム配列でのゲノム座標での生物学的な意義の確認も実施する。最終的には候補遺伝子について、肺がん発症の集積の有無を東北大学東北メディカル・メガバンク機構の前向けゲノムコホートのデータ分析を加え、最終的に肺がんのがん抑制遺伝子の同定を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
計画自体は順調に推移しているが、費用として見込んだエキソーム解析の部分が比較的廉価に収まったことなどが原因。来年度に検証解析を実施する。
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Research Products
(8 results)